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2006年03月06日

いわゆる「審判問題」を巡る多面的考察 その2

江藤――たぶん、そういう方向になってきているとは思いますね。JFAも2015年までに日本代表が世界のトップ10に入ること(JFAの約束2015)を目指していますからね。技術委員会も世界の基準を見ていると思うし、日本代表が世界で戦って来た中で、やっぱり対戦国の厳しさも見てきているわけだし。海外サッカーの情報も豊富に手にはいるようになっていますから、そういう部分で(ジャッジの)基準を変えたということが絶対あると思うんですよね。
 では、どう変わるかという部分なんですが、昨日(2月26日)川崎Fと大宮のプレシーズンマッチを見てきたんですね。主審は東城さんで、結構笛を吹かないレフリングで、的確にイエローを出してよかったんですよ。
そんな彼は去年の高円宮杯全日本ユース(U-18)大会の準決勝(滝川第二高―札幌U-18戦)で、笛吹きまくり、カードだしまくりだったんですね。ものすごくルールに厳格に、「倒れたファウル」というところに厳格に笛を吹いたわけなんですよ。
 その結果、何をもたらしたかというと、札幌U-18は決勝戦で2人の選手が累積と退場で出られなくなってしまった。結局札幌U-18は、決勝でヴェルディユースに大敗してしまったわけです。選手を守るはずのルールが、試合を壊して、トーナメントを崩してしまった。それがよかったかと言えば、よろしくないと。と思っていたのですが、昨日の試合では、東城さんの笛がよくなっていました(そう感じた)。そこで、今回の基準の改正によって「よくなる」という期待が持てるんですよね。

寺下――ちょっと話は外れるのですが、アルパイの退場があったとき(大分戦)に、「審判が試合前に『気をつけろ』と言われた」という話がありましたよね。
 そこで、もう1つ考えて欲しいのは、選手は審判の特長をつかもとしている。審判も選手のマイナスの情報だけじゃなくて、さっきの近藤祐介の話のように「この選手はフィジカルの強い選手だから、当たって選手が倒れても流していい」というように、情報を選手と一緒に共有してほしいですよね。というのがまずありますよね。
江藤――それはただ、微妙な問題で、ぶつける方は「ファウルじゃない」と思っていても、ぶつけられた方が吹っ飛んでしまっては、ファウルを取らざるを得ない場合もありますよね。
浅野――これは僕の私観かもしれないですが、シドニー五輪の決勝トーナメント1回戦でのアメリカ戦がありましたよね。
 その時にアメリカ選手が倒された時にはすぐ笛を吹いて、逆に日本選手が倒された時には笛が吹かれなかったんですよね。あれは僕が見てもフィジカル的にアメリカの方が圧倒的に強かったので、その意味で審判に先入観があったんじゃないかと。
江藤――「(フィジカルの強い)アメリカ人が倒れるくらいだからそれはファウルで、日本人はフィジカルが弱いから、倒されてもファウルじゃないだろ」という先入観?
浅野――そういう危険性もあると思いますね。それが本当だったかはわかりませんが。
川崎Fの森(勇介・DF)ってよくレッドを出されるじゃないですか。あれは本人のせい以外にも審判の先入観の影響があると思います。
 あまり先入観を持ち過ぎるのも…アルパイの話もよくないですよね。試合前にレフリーが本人に忠告するなんて、審判が「先入観を持っていますよ」と宣告しているようなもんじゃないですか。そこはできるだけフラットに見て欲しいな、と。
 だから、近藤(祐介)の件にしても、ファウルしたかどうかは、よく見ていればわかることなので、倒れたか倒れていないかだけじゃなくて、「それはどのようなプレーだったのか」をしっかり見てほしい、と個人的には思っています。
江藤――今季「流す方向」で試合はどう変わると思います?
佐藤――スムーズな展開にはなると思うし、逆に「仕掛ける」チームが増えるんじゃないかな、というイメージがありますね。
江藤――「仕掛ける」というと?
佐藤――1対1の部分ですね。
江藤――つまり、より局面局面での当たりが増えて、なおかつ試合が流れていくと。ブツ切りの試合ほどつまらないものはないですからね。
寺下――さっきの森のことを例に取ると、正にそれは当てはまりますよね。昨日の森のプレーだと東城さんは(昨年までなら)イエローを取ると思うのですが、そこを注意で済ませたり、流したりしていましたね。
 それによって活きてくる選手、森がどうなるかはわかりませんが、そういう選手も出てくると思いますよ。
江藤――流される方向になってくると、試合に厳しさが出てきますよね。そこで転ばされそうになっても、踏ん張ってボールを追いかけるというような「粘り」が出てくると思いますね。
寺下――それによって浮かび上がってくる選手も出てくると思いますよ。
後藤――結局今までの日本のサッカーは中盤志向で、「パス、パス、パス」という形だったのは?1対1の局面を悉く避けているわけですよね。選手のポジションとポジションの間をパスで縫っていくような。
 今後は1対1の局面が増えていくことによって、攻撃がアグレッシブになり、逆にディフェンスもアグレッシブになってくると思います。前からどんどんプレスをかけてボールを奪うサッカーにもなってくるだろうし。これで一段階サッカーのレベルが上がる期待はありますよね。
 特にヨーロッパに行った場合、日本の選手は個性が確立されていなくて、結局FWの選手も高原みたいにサイドに回されちゃう。「センターフォワード」という役割が確立されていないからですよね。そういうスペシャリストができるようなサッカーに今後はなっていくと思いますけど。
佐藤――審判の笛でスペシャルな選手の個性も出やすくなると。
江藤――審判は日本のレベルを変えると思いますよ。強くなると思う。より個性が出ると思いますよ。

その3へ続く。

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