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2008年01月21日

FC東京 新体制発表記者会見 「十年目の原点回帰」

 900人のファンが押し寄せた午前練習のあと、午後3時からFC東京新体制発表記者会見が始まった。集まった報道陣は67名。
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 冒頭、村林裕取締役専務はこう語った。「99年にJ2に参入し、ことし十年目のシーズンを迎えます。この十年という区切りをよい年にできるように、我々一同頑張っていきたいと思います。その意味で、原点に立ち返るということをみなで確認し、この新年を迎えました。目標は優勝と言いたいところですが、近年のチーム状況、他のクラブのことを考えますと、必ずしも優勝の二文字だけにこだわるのではなく、あえて言えば〝優勝を狙える力をつける〟あるいは〝優勝争いに加わる〟ことを目標としながら、二年後、三年後にJリーグ優勝、また原点である〝世界に通じるクラブになろう〟という目標を堂々と掲げられるようなクラブになっていきたいと考えております。今日午前の練習に、900名を越えるファンの方々にお集まりいただきました。なにより、選手がその重みを感じていると思います。昨年末以降、城福新監督、スタッフとと。あるいはきょう、選手たちと、〝味スタを満員にしよう〟ということ、そのためにベストを尽くそうということを確認しました。どういう戦い、サッカーをするかについては、今後、監督からいろいろなかたちで発信していくと思います。スローガンも、あらためて確認をして、しかるべく発表をしていきたいと思います。ただ、合言葉を〝味スタを満員に〟。そのためにそれぞれが何ができるかを今シーズンの基本として今シーズンを過ごしたいと思っています」

 城福監督の会見、新入団選手の挨拶ののち、その選手たちの囲み取材が順次おこなわれた。そのさなか、鈴木徳彦強化部長と会話をするタイミングがあった。〝徳さん〟こと鈴木強化部長は、言葉のトーンが誤って伝わることをきらい、発言に慎重な方である。入念にニュアンスを確認して、強化の意図を問いただした。そして鈴木強化部長の言葉から、強化部の認識としておそらく正しかろうと思えたのは、以下の事柄だった。
「監督によって志向するサッカーや戦術はその都度変わってくる。しかし根底から変わらないものがある。前線にロマーリオのようなFWがいたとして、彼にサボることを許さないのがFC東京の気風である。それは揺るがせてはならない」
 2004年のナビスコカップ優勝を頂天として右肩上がりの時期は終わり、低迷、または停滞がつづいている。それは揺るがせてはならない何かが揺らいでいたからなのか。だとすれば、そこにメスを入れ、「十年目の原点回帰」を果たすために、微妙な調節を施す必要があったのだろう。スタッフも選手も昨シーズンと大きく入れ替わった。栗澤など「新しいチームに来たようだ」とまで言った。そして補強した選手は、羽生を筆頭に地味だが汗をかいてくれそうな、城福監督のめざすサッカーにハマりそうな人材ばかりである。城福監督は「満額回答とはいかないもの。クラブはよくやってくれた」とコメントした。優勝はできなくとも、村林専務の言うように優勝争いに顔を出し、最終順位が7位か5位か3位かはわからないが、オシム千葉の一年目のように、さわやかな印象でシーズンを終えてくれるのではないかという想像を、この編成はかきたててくれる。
 会見で城福監督は「主導権を握るサッカーをしたい」と言った。その言葉を聞いて瞬時に脳裏に浮かんだのは大木武監督時代の甲府だった。どんなに強い相手にも臆することなく向かい、相手陣内に深く入り込んでしまう。そんなイメージを浮かべていたら、その後の囲み取材で城福監督が甲府を引き合いに出したので、たいへん驚いた。

 城福監督のクラブを愛する気持ちは仮借のない言葉の端々から伝わってくる。いわく「落ちてないがゆえのデメリットもある」。J2に降格すれば危機感を強烈に抱き、本気で改革に取り組み、膿も出ようものだが、東京は幸か不幸か残留争いに勝ってギリギリ踏みとどまってきた。ゆえに改革が遅れた側面があるかもしれない。
 ぼくから直接向けた質問に返ってきた答えをふたつ並べておきたい。
「停滞のあとには飛躍しかない。もがいている、そのエネルギーを爆発させたい。このクラブが培ってきたもののほかに、クラブに足りないものはぼくなりに整理しているつもりです。そこを引き出すことによってウイークポイントがストロングポイントに変わると、チームは変わる」
「この三年どうだったか、原点を見直すところがひとつと。自分の志向をクラブに伝えたうえで、クラブがぼくを選んでくれた。自分の仕事が挫くになっていくかはわからないですけれども、それがいまの東京にプラスになって働いていくと判断したから選ばれたと思っていますし、ぼくは自分のやり方を貫きます。でもいちばん大事なのは選手が生きることなんですよね。何をもって芯というかというと、選手も替わっていくし、でも自分の志向はわりとはっきりしているので、バランスをみながらアプローチしていきたいと思います」

 偶然、帰りの足が村林専務といっしょになった。わずかな時間、FC東京の今後をどうすべきか語り合ったが、もちろん答えは出なかった。ただ世界をめざすという、これも原点のひとつだが、その意思にブレがないことだけは確認できた。
 正式なことしのキャッチコピーはさほど間をおかずして発表されるだろう。「味スタを満員に」というのは、ファンへ向けた言葉ではないからだ。味スタを満員にするには城福東京の魅力をアピールしなければならない。おそらくそうした言葉が選ばれるのではないかと思う。
 戦略のゆがみに対して修正が施された。それが正しい道筋かはわからないが、希望はある。

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