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2008年02月22日
広島対甲府・練習試合(2)

(写真:ボールの収まりがよかった広島・久保)
45分×2本を2セット。第一試合は広島が久保、下田、甲府が石原を加えたBチームといった陣容。甲府は昨季愛媛に期限付き移籍していたジョジマールが2ゴールをマークしたが、それ以上に注目を集めたのは同じ数だけゴールネットを揺らした久保だった。
「なぜトルコで5試合ゴールを決められなかったときに『久保はゴールを決められないのか』と聞かないのですか? ご存じないかもしれませんが、平繁はロコモティフ・モスクワ戦で2点取っているんですよ?」と、ペトロヴィッチ監督は報道陣を煙に巻くが、もちろん真摯な回答もしてくれている。ゴールを決めたこと自体は素直に歓迎したうえで、次のようなコメントを残してくれた。
「久保は昨シーズン、ほとんど試合に出ていません。若いチームに入って試合勘を取り戻してほしいという思いがある。その考えのもとに(Bチームで)やらせています」
久保は第二回トライアウト以来のひと月でかなりコンディションを上げたようで、90分フルタイム働いただけでなく、その内容もすばらしかった。2ゴールはもちろん、サイドに流れ、くさびを受けて攻撃の起点となった。とにかくボールの収まりがよかったことは、相手がBチームだったことを考慮しても高く評価できる。佐藤と平繁を脅かすだけの力量はあるとみてよいだろう。
事実上のJ2頂上決戦として考えた場合、Aチーム同士の第二試合がより重要だった。一本目の45分は甲府ペースだったが、後半は途中までやや甲府が有利な五分で進み、まだ甲府のなかでは戦術理解度の低いブルーノが途中出場した最後の20分は広島ペースとなった。第一試合と第二試合を通しての印象は「高くラインを上げ、ボールを支配して攻め込む甲府に対し、効率的かつ意図的なカウンターで反撃する広島」となるだろう。
ペトロヴィッチ監督に「カウンター攻撃の精度についてはおおむね満足しているか?」と訊ねると、「カウンター攻撃が意図的に作れていた。ただし相手の背後にスペースが空いたためにカウンターが決まった側面もある。J2では相手がスペースを埋めてくることが多くなるだろうから、押し込んでゴールを奪うことも試していかなければいけないのかもしれない」と答えてくれた。
昨季からほとんどメンバーが替わっていない広島のベースには揺るぎがない。よい意味で「J2仕様」になれれば、昇格の可能性は高まる。
いっぽう「プレシーズンの試合であり、リーグ戦では状況も変わるだろうし、相手が広島だから、という意識はしなかった。自分たちのサッカーをやるだけ」と語ったのは甲府の米田コーチ(安間監督が体調不良のため、前日のFC東京戦から練習試合の指揮を執っている)だ。
「3-5-2の布陣を敷いてくる相手にどれだけのことができるか」という視点では臨んだが、それは純粋にサッカーの構造上の問題。広島という固有の相手をことさら意識することはなかった。
Aチームの完成度はきわめて高い。岡田ジャパンの標語ふうに言えば、ショートパスを回す「接近」と、ロングパス・ミドルパスによるサイドチェンジ、ドリブルによる侵入といった「展開」のメリハリがついている。ボールを保持しているときは自信たっぷり。ポジショニングとパスの角度がよいためにワンタッチでパスがつながり、瞬く間にフィニッシュへと到達する。そのフィニッシュにも迫力がある。大西の速いクロスをワンタッチで叩き込んだ羽地のゴールに象徴されるが、昨年まで課題とされていた「ピッチの残り1/4」攻略、ボールが回れどシュートはできずといった現象が解消されている。
この印象は前日におこなわれたFC東京戦と変わらない。もしいまの状態でシーズンに突入できるなら、ダントツの優勝候補だ。
「あまりに仕上がりが早いのではないか」と疑問を呈すると、米田コーチはこう答えた。
「もとより、仕上げるという考えではやっていません。サッカー人生がつづくかぎり向上したい、毎日練習してうまくなっていこうという気持ちでやっている」
羽地、前田とともにAチームの3トップを組む宇留野は「ポジション争いが激しい。レギュラーは確約されていません」と言う。ゆえに「シーズンに入ってから調整という感覚はない」のだそうだ。監督の要求は昨年までよりさらにこまかいと、選手はとらえているはずだ、とも。一見完成されている甲府だが、そこにとどまることなく、恒常的に選手を向上させるための要素が備わっているのだ。
ペトロヴィッチ監督が「日本全国で知られているでしょう、ショートパスを回すサッカーですね」と甲府の印象を答えたが、まさに甲府は我が道を行っている。甲府が相手に勝つ根拠も、相手が甲府に見いだす弱点もそこだ。甲府が自分たちのサッカーを押し通すか、相手がそれを阻害するか。この日の広島は甲府に押されている場面もあれば、アクションに対するリアクションという相性のよさできれいにカウンターを決める場面もあった。そのせめぎ合いは、そのままJ2の優勝争いを表しているかのようだった。

(写真:「ポジション争いは激しい」と言う甲府・宇留野)
- by 後藤勝
- at 2008年02月22日 00:35
- in マッチレポート
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