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2008年02月09日
FC東京トレーニングレポート 2月8日 城福サッカーの進捗状況
グアムキャンプから戻ってきたFC東京が小平グランドでトレーニングを行っている。2月8日は日本代表の羽生直剛と今野泰幸が合流。東アジア選手権出発前日の12日まで5日間、彼らをまじえた練習が可能になる。10日に筑波大学、12日に湘南ベルマーレと練習試合をおこなったあと、日本代表選手二名は中国へ、チームは宮崎県都城市へと、それぞれ赴く。ここでは8日のトレーニングについてかんたんにまとめてみた。

午後、U-18の練習場で新ユニフォームによる集合写真を撮影したFC東京。トレーニングジャージーに着替えると、練習が始まった。ウオームアップのあとにフィジカル系のサーキットトレーニング。コーンの数がふたつだったり3つだったり4つだったり、その向きがちがったり。コーンをくぐり抜けてから頭でパス、足でパスと、6つのグループ【※ピッチの端、通路側のほうでチューブトレーニングをおこなっていたのを失念していました。全部で7グループです=2月9日13時修正】に分かれ、少しずつ異なるメニューをこなす。
次に3グループに分かれて6対2のボールポゼッション。1グループはふたり一組の4チームで、チームごとに異なる色(ピンク、水、オレンジ、黒)のビブスをつける。ただ一定にボールを回すのではなく、ルールが次々に変わっていくのがミソだった。
「ライン上だけじゃなくていいんだぞ、中に入っていいんだぞ」
「リターンなし、ルール変わったぞ」
と、城福監督が声をかける。
コーチ陣からも「次! ドリブルした場合は同色だけワンタッチでパス」などと、ルール変更が告げられる。
「OK! 水色、ピンク、オレンジ、ひとりずつ回していこう」
「リターンなしでドリブルな」
「おい、もっとドリブルで仕掛けようぜ!」
「リターンなし、リターンなし」
「ドリブルルール生きてる」
「単なる2タッチじゃダメで、いい状態で仕掛けないと」
ワンタッチや2タッチで回すだけならともかく、ふたつ以上の条件を満たしながらボールを回しつづけることは、しっかり考えないとできない。しかしボールスピードを上回るスピードで考えるのはとても難しい。ルールに従わなくてはと思っていても、それを逸脱したプレーになってしまいがちだ。シンキングスピードの遅れを補うためにコーチングがあるのだが、それでもついていくのにみな必死だった。
つづけて8人一組の3チームがボールポゼッション。「お休み」のチームは6対2でゆっくりとボールを回す。オフェンス側はライン上で動かないのが約束だ。
残る2チームはおよそ30数メートル四方に区切られたグリッド内で激しくボールポゼッションをする。
「ワイドにかまえないとつながらないぞ!」
狭いスペース、速いスピード、オフサイドありというルールのなかで、適切な広がりを保つことは難しい。瞬間ごとに切り替わる局面で、ひとつのボールに対してほとんど全員が常に最適のポジションを探して動かなければならない、とても頭脳が疲れる練習だ。しかも城福監督からは、
「オフサイドじゃないけど、美しくはないな!」
という声が飛ぶ。オフサイドになっていないからといってOKなのではなく、美しい形=攻撃が成功する可能性の高い動きになっていなければならないのだ。要求のレベルはとても高い。
「準備! 準備!」
「ワイドにワイドに、まずワイドに」
「OK、考えることが一致してきたぞ」
このときの練習を観ながら、取材ノートに以下のようなメモを取っていた。
・体の運動量と頭の運動量(判断の速さ)で相手を凌駕することで優位に立つ
・(シンキングスピードと運動量で)圧倒するサッカー、という狙い?
・フィジカルの大きさをひっくり返す?
ピッチ上ではあいかわらず城福監督が「ワイドにかまえないと」とコーチングしている。
つづいて紅白戦。両チームがセンターサークルでまっぷたつに分かれるのではなく、ラインを上げて相互に入り交じった状態でキックオフした。
この時点でのメンバー分けに大きな意味はなさそうだが、スタート時点でのイレブンは以下の通り。
【青】GK塩田、FP徳永、吉本、茂庭、長友、池上、今野、栗澤、石川、エメルソン、平山
【赤】GK権田、FP小山、佐原、藤山、金沢、梶山、浅利、羽生、川口、赤嶺、近藤
サイドバックに入った小山がボールを蹴る選択をしなかったとき、ゲームが止まり、城福監督からは以下のような言葉がかけられた。
「泰志! あれで蹴って真吾と祐介が動かなかったら、前が悪いんだから、蹴っていいんだぞ」
サイドバックに求められる役割は昨年までと少し変わるのではないか、という予感がする。
練習全体を通し、緻密なメニューに触発されてか、選手の動きはこまかく、じつにキビキビしている印象を受けた。選手たちは常に最適のプレーを考えていて判断が速いし、よく声が出ていた。ひとつのプレーにほぼ全員が反応するため、蜂の群れが動くようで、つまり連動性が高い。
いまのところは落ちこぼれが出現することなく、全員の練度が揃って向上しているようだ。
選手たちが自覚しているかどうかはわからないが、始動日から数えて約三週の間に、シンキングスピード、俊敏性、運動量、組織力はまちがいなく上向いている。ここまで「できる子」になっていることに、はっきり言って衝撃を受けた。
約二時間の練習はとても濃密で、長いのにあっという間に終わってしまった気がした。取材する側としても骨が折れるというか、きちんと観ていないとわからなくなる、そんな内容だった。
次々にルールが変わっていくボールポゼッションや多色ビブスの採用など、オシム〜岡田ジャパンとも共通する要素があり、日本サッカー協会技術委員会と方向を同じくする練習と言える。
練習後、同業者に向かい、ぼくは「気が早いけど、世界を相手にこのサッカーが観てみたい」と言った。つまり、FC東京がめざす「日本のサッカー」は、フィジカルで圧倒的に差のある欧州勢と対戦したときにその特徴を発揮し、優位に立つだろうと、そのときに思ったのだ。相手よりも速く判断し、相手よりも多く動いていれば、個々の体力や技術力の差が露呈する前にゲームを制することができる。
かつて北朝鮮が1966年ワールドカップで猛威をふるったのと同じ理屈である。アジアが、日本人が世界を相手に戦える術はきっとある。
FC東京が始動した翌日からワールドカップ予選タイ戦まで岡田ジャパンを追ってきたが、小平に戻ってみると、日本代表と連続した地平で日本サッカーを追求するクラブチームがあったことに、とても感銘を受けた。
開幕戦が待ち遠しい。結果がどう出るかわからないが、はやく公式戦のピッチでこのサッカーを観たい。
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