Main Contents
2008年02月27日
HOYO Atletico ELAN

大分にHOYO Atletico ELAN(ほーよー・アトレチコ・エラン)という謎のチームがある。2月2日にはロアッソ熊本と対戦し2-8で敗戦。11日には川崎Fと練習試合を行い0-7というスコアで大敗している。その一方で、精力的に選手補強に努めており、今季は10名程度を獲得。また今季から、監督として元日本代表の増田忠俊氏が正式に指揮を取ることとなったがだがその実態はあまり知られていない。
先日、その謎のHOYOが、日本文理大学と練習試合を行った。日本文理大学には元大分トリニータの岡中勇人氏が監督に就任。観客はほとんどいないながら非常に豪華な練習試合だった。たまたまその場にHOYOの代表である清原栄二さんの姿があったのでザックリと話を聞かせてもらった。
そもそもHOYOとはどんなチームなのか。
現在は大分県1部リーグに所属し、九州リーグ昇格を目指しているという。元々は県リーグ4部からスタートし地道に昇格を繰り返してきたという。さらに言うと、それ以前のチーム創設時には社内でサッカーにするのか野球にするのかで議論があったとの事だが、結果的にサッカーへ。Jリーグ参入に向けてロードマップが示されているというサッカー界独自のわかりやすさが決め手だったのだという。
昨季、県リーグ優勝は確実と思われていた最終戦。不測の事態が起きる。チームの精神的支柱であるディフェンスラインの山中良二(水戸から移籍)が病欠。さらにFWの選手が開始直後に退場。主力を欠く中、結局引き分けてしまい、土壇場で耶馬渓FCに逆転を許してしまった。
九州リーグ昇格の夢は今季へと持ち越された形だが、そこで清原さんは勝負をかけた。清水から獲得(昨季はロッソ熊本・現ロアッソ熊本へレンタル)した鈴木真司に代表されるように、即戦力クラスの選手を補強し、監督として増田氏の起用を決めたのである。
「今年はまずは県リーグでは負けられないと思っています。これだけ選手を補強してますからね。あと今年のもう一つの目標は、天皇杯に出場することです」と清原さん。大きな希望を口にしておられたが、そこで気になるのがチームがどのように運営されているのか、という点である。
「このチームのほとんどの選手は豊洋精工とその関連会社で働いています。獲得する選手は大半が九州出身者が中心で、引退後にもこの地域に残れるように考えています。あとは引退後にもサッカーに携わりたいのか。それとも仕事を続けるのかで、受け入れ先を変えています」
このチーム。サッカーを続けたいという選手にとっては非常に優しいチームで、たとえばC級ライセンス取得のための費用は全額補助しているのだという。数万円の受講料がかかるが、昨季数名。今季も数名の希望者がおり、実際に補助しているという。さすがにB級以上になると費用と共に時間がかかるためそこまではサポートしていないとのことだが、C級取得の補助だけでも十分だろう。九州のあるJクラブでは…。まあ、その話はさておき。
県リーグのチームに来てもなおサッカーを続けたいという事からもわかる通り、夢を持ち続けている選手が多いという。だから「チャンスがあれば上に引っ張ってもらえばいいと思っていますし、喜んで送り出したいと思ってます。J、JFLを目指してて結局取ってもらえなかったという選手も多いですからね」と清原さんは話していた。
そんな話を聞いている最中。HOYOにビッグチャンスが訪れる。ゴール前でマイナスのクロスを受けてシュート。しかし枠から大きくふかしてしまったその選手にベンチから声がかかる「シンタロー!!」。苦笑いでそのシーンを見ていると、清原さんがシンタローくんについて話をしてくれた。
「彼はまだ16歳なんですよ」
「えっ! 高校生なんですか?」
「いや、違うんです」
周りから声をかけられていたその選手の名前は、山口慎太朗くん。入社2年目の選手である。
「本来はうちは中卒の選手の受け入れはやっていないんです。いろいろと手続きが煩雑になりますからね。シンタローの中学校の先生がうちのホームページを見つけて連絡してきたときに、最初は断ったんですよ。ところがもう一度連絡してきて、話を聞いてほしいと」
実際に会社を訪れてきたというその熱意もあって、清原さんは受け入れを決意。晴れてシンタローくんはHOYOの一員としてプレーすることとなったのである。
「彼は1年で10cmも身長が伸びてね。中学校時代は東京の区部のトレセンにも選ばれていたと言いますし、これからが楽しみですよ」
そんな話をしていると、選手の一人が「友達」と共に清原さんの元へと歩み寄ってきた。
「先日話をしていたものなんですが…」
「監督はなんて言ってるの?」
「取ると言ってくれました」
「じゃあ、来ればいい。学校はいつ終わるの? 終わる前に一度来て、職場とか住む場所とかを確認した方がいいね。ずっとサッカーを続けたい? ならあそこだな…」
まさに目の前で一人の選手の獲得が決定した瞬間だった。
「ありがとうございます」と挨拶してその場を後にしたその選手の後ろ姿を見送りながら「すっかり忘れてたよ(笑)」と清原さん苦笑い。
一人の選手、そして社員の獲得をわずか数分間の立ち話で決めてしまったわけだが、なぜそんな事ができるのかというと、清原さんは豊洋精工の専務の肩書きを持っており、実兄が社長を務めているという事情があるのである。
「最初にチームを立ち上げたときはそれは怒られましたよ。だけど会社の活力になるということで取締役会で正式に認められて予算を付けてもらえました。感謝してます」
なんとも男前な話だが、今の世の中それくらいの度胸と資金力がないとチームを立ち上げ上を目指すのは無理な話なのだとも言える。
ちなみに豊洋精工という会社だが、グループ企業も含めた従業員は1200人。大分駅などに広告を掲示しており、大分駅を利用する方は無意識に見かけているはずだ。


将来のJ入りに関しては「そこまでは」と言葉を濁していたが、JFLまでは狙いたいとのこと。新日鐵大分と共に大分市をホームとするアマチュアチームが1チーム増える可能性に少々驚いているところである。
・関連ページ
HOYO Atletico ELAN大分(wiki)
TrackBacks
トラックバックURL:
- »フットボール定食 - HOYO Atletico ELAN from Reysoloid
-
大分にHOYO Atletico ELAN(ほーよー・アトレチコ・エラン)という謎のチームがある。2月2日にはロアッソ熊本と対戦し2-8で敗戦。11日には...
- on 2008年02月29日 00:36
- [Read More]
Post a comment
(フットボール定食 では不適切なコメントを防止するため、コメントを掲載する前に管理者がコメントの内容を確認しています。コメントを初めて投稿する場合すぐに掲載されませんが、管理者が適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)