Main Contents
2008年02月10日
本当の「緑」とは? 残念な決断
水戸市にはツインフィールドというグラウンドがある。
ここは01年に作られたサッカー・ラグビー場で、ツインフィールドという名の通り、スタンドを挟んで2面のピッチが取れるようになっていて、水戸ホーリーホックが練習に使用するのをはじめ、週末にはキッズの大会など幅広く使用されており、市民のサッカー・ラグビーの発展の場として広く親しまれている。
日韓ワールドカップの時にはコスタリカ代表のキャンプ地に内定。結局、コスタリカ代表は韓国ラウンドに入ったために実現できなかったが、ワールドカップ出場国から認められるほどの高い機能性を擁したグラウンドであった。
しかし、そこには大きな問題があった。
芝の養生があまりにもずさんだったのだ。
完成当初はきれいな緑一色だったものの、日に日にはげが目立ちはじめ、芝は青さも失っていった。そして、芝の下に敷き詰められた土はでこぼこ。
選手たちは足元に気を取られ、サッカーに集中できず。歳月とともにサッカーに適さないグラウンドへと変貌していったのであった。
そこで水戸市はある決断を下す。
2面あるピッチの1面を人工芝に張り替えようと決めたのであった。
昨年から工事に取り掛かり、昨年末に完成。
今は冒頭の写真のように鮮やかな緑で覆われるようになっている。
枯れ果てた天然芝から一転、青々と映える人工芝へ。
ひと目見るだけなら、この改革は成功のように思われる。
しかし、これほど残念な決断はないのではないだろうか。
水戸市は芝を育てるということを放棄しまったからだ。
残されたもう1面はこの有り様である。
手入れされている気配もなく、もはやこれは芝とは呼べないだろう。
グラウンド完成からたった6年強。
今、求められているのは50年後、100年後に向けて、芝の養生をするノウハウを手に入れることであるはず。
最初からうまくいくわけはない。様々な試行錯誤を繰り返しながら、ノウハウを見出していくことが大切なのではないだろうか。
それを諦めてしまったということは向こう50年を見た時に早まった決断としか言いようがない。
以前、校庭を芝生に変えた学校の校長先生に取材をしたことがある。
その学校には芝の知識のある人はいなかったが、職員全員が一丸となって芝に対しての勉強をし、工具を買い揃え、そして毎日毎日苦労をしながら手入れを繰り返した。
そして、それは学校の職員だけでなく、近隣の住人の力を借りながら行ったのであった。
最初はなかなかうまくいかなかったが、やっていくうちに年々芝は根付きはじめたという。
努力を続けていけば、これからもさらに芝は着実に育っていくことだろう。
「芝を育てることは大変ですよね?」。私の何気ない質問に対して、その校長先生が強い口調で返答してきたことは、今でも強く印象に残っている。
「そりゃ、大変ですよ! でも、大変だからみんなでやらないといけないし、苦労しながらノウハウを学ぶことが大事なんですよ。それを地域に還元することが我々の役割であり、それが文化につながるんです」。
一方、楽な道を選んだ水戸市。
人工芝に替えられた天然芝はもう二度と帰っては来ない。
だが、これは水戸市だけの話ではない。
特に地方都市では今でもこうした不理解がまだまだ渦巻いていることだろう。
Jリーグクラブに求められているのは、そうした各地域の意識を変えることである。
Jクラブが率先して挑戦し、その報告を地域に還元する。
それによって、スポーツ文化が各地で育まれることになるのだろう。
自らの練習場であるホーリーピッチの芝生の養生すらままならず、人工芝のグラウンドで練習試合を行う姿から、何とも言えない口惜しさを感じる。
水戸ホーリーホックが本物の「緑」の上で練習を行う日は果たして来るのだろうか。
- by 佐藤拓也
- at 2008年02月10日 00:01
- in コラム
TrackBacks
トラックバックURL:
- »フットボール定食 - 本当の「緑」とは? 残念な決断 from Reysoloid
-
水戸市にはツインフィールドというグラウンドがある。 ここは01年に作られたサッカー・ラグビー場で、ツインフィールドという名の通り、スタンドを挟んで2面の...
- on 2008年02月10日 10:49
- [Read More]
Post a comment
(フットボール定食 では不適切なコメントを防止するため、コメントを掲載する前に管理者がコメントの内容を確認しています。コメントを初めて投稿する場合すぐに掲載されませんが、管理者が適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)