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2008年04月08日

【野洲通信】野洲らしさ② -決勝戦―

新チームが立ち上がって3ヶ月。
目の前の相手が、誰であろうと“勝ちたい”という気持ちは常にある。
そして同時に、彼らの心にはいつも“俺たちは勝てるのか?”という不安も抱えている。
その答えを見つけるために、彼らはボールに向かい、ゴールを見つめる。

F・マリノスカップで彼らがつかみかけているもの。

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【野洲通信】では、野洲高校サッカー部にご協力いただき、チームの1年を伝えていきたいと思います。監督とスタッフ、そして選手たちが見せる表情を追いながら、彼らの目線で、新たな高校サッカーの魅力、面白さに迫っていきます。
第四回目は、全国の強豪チームと対戦したF・マリノスカップ決勝戦の模様をお伝えします。


冷たい雨の中で、少しだけゆがんだ顔を見せる。
「レイソル。強かったなぁ」
声にならない声が、ベンチから静かに聞こえた。

F・マリノスカップ 決勝戦@マリノスタウン 雨

野洲vs柏レイソルU-18
2-4
得点:坂本②

――勝ちたかった。
悔しそうな表情のまま集合写真を撮り、挨拶をして控え室に戻る。
今日はいつになく言葉が少ない。
山本佳司監督も、だ。

柏U-18はJユースサハラカップ2007で準優勝を果たしている屈指の強豪。フィジカルが強く、こまかくパスをつなぐチーム。

前日、山本監督は「記録的大敗をするかも」と、冗談交じりにもらしていた。
だが、その相手に真っ向勝負をしかけたい。大敗をしたとしてもどこまで通用するのか、彼らの力を見ておきたい。それは「勇気を持って仕掛けられるか」というテーマの裏にある、プリンスリーグを考えてのことだった。

4月13日から開幕するプリンスリーグでは、G大阪、京都、C大阪といったトップレベルにあるユースチームとの対戦が控えている。高校勢とは違う強さを持つチームに対し、互角以上の勝負をしなければ、次の扉は開かない。それを考慮した上で昨日試合をした横浜FM、そして柏を相手に野洲サッカーを貫けるのか。

「今日の相手はJユースチームだけど、同じ高校生。負けへんと思って戦えるかやぞ! お客さんもいて、天然芝のピッチが用意されている。自分たちのサッカーをするには絶好の相手。この90分は、上手くなるチャンス」
山本監督の言葉に耳を傾ける選手たちの表情が、少し硬い。

試合開始直前から降りしきる雨の中での静かな90分。主導権はほぼ柏U-18が握っていた。仕掛けても奪われ、跳ね返される。先制をし、追いつかれ、引き離しても、また追いつかれる展開。後半にはさらに2失点をして2-4で敗戦。

すべるピッチの中で、劣勢でも果敢に攻める姿勢は貫いた。右サイドをドリブルでかけあがった潮入啓太(3年)がヒールで落とし、福原拓巳(3年)がそれを受けてさらにドリブル突破しクロスを入れる。中央に走りこんだ坂本一輝(3年)が頭で決めた2点目はまさに“らしさ”がつまった得点シーンだった。ピンチの連続だった守備も、大声を張り上げ、激しく競り合った。

もちろん、悪天候や連戦の疲労の中でミスはあった。課題とされてきた「立ち上がりの戦い方」も、まだ課題のままだ。
自分たちのサッカーを出しきれたのか、真っ向勝負ができたのか。
問いかけられれば、はっきりとその答えをYESとはいい切れないかもしれない。

けれど、変化はあった。

悔しい。
選手の顔に、はっきりと映った気持ち。憮然でも、ぼうぜんでもなく、悔しさをのぞかせた。それもこの遠征に来ていた全員が。

「ちょっとチームになってきたやろ。前よりお互いを尊重してきている」(山本監督)
新チームが立ち上がってすぐの頃は、チームのまとまりは見えにくかった。どこか気持ちがちぐはぐしたまま、全員が同じ方向を向けずにいた。勝っても負けてもサバサバした雰囲気。

だが、佐川との初戦から2ヶ月。その間に週末毎に組まれる練習試合で手にした自信は、彼らの心を強く育てていた。結果がついてくることで、互いを思う心を信じる。

主将の西口諒(3年)が静かに口を開く。
「まだまだやけど、いい雰囲気になってきてる」

“一緒に戦うこと”。個性を大事に、自由に、多彩な攻撃を見せる野洲だからこそ、チームの心が一つになることは、とても重要なことだ。決勝戦で敗れはしたが、その思いは、この大会中にも加速する。サッカーを一緒にプレーする彼らだけが知る、輪のようなもの。

野洲が今、手に入れようとしているのは、プレースタイルのように目に見えるものだけではなく、もしかしたら目に見えないものの方がずっと大きいのかもしれない。

「晴れてて人工芝だったら勝ってた!」
着替えを終えた選手たちが、苦笑いをしながらペロっと舌を出す。悔しさを心の奥底に潜ませ、引きずらないのも野洲のよさ。いつもの明るい17歳の素顔をのぞかせて、バスへ向かう。
また6時間の長旅だ。

「明日も午前中から試合だよ。頑張らなきゃ」
自分に言い聞かせる様につぶやいて「またね!」と笑顔を向けて横浜を後にする。

次は2週間後。公式戦が待っている。
彼らは、どんな野洲らしさを見せてくれるのだろう。

【野洲通信】は野洲高校サッカー部公認・協力の下、取材、記事作成をしています。

F・マリノスカップのこぼれ話はこちらに掲載中です↓
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