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2008年04月18日
【野洲通信】空回り
悔しさは、明らかだった。
心のどこかで勝てると思っていた。
だが、
京都サンガに0-2。
「立ち上がり、気持ち、運動量、すべての面で負けてた」(⑧潮入啓太/3年)

【野洲通信】では、野洲高校サッカー部にご協力いただき、チームの1年を伝えていきたいと思います。
監督とスタッフ、そして選手たちが見せる表情を追いながら、彼らの目線で、新たな高校サッカーの魅力、面白さに迫っていきます。
第5回目は、プリンスリーグ関西開幕戦対京都サンガユースの模様をお伝えします。
JFA プリンスリーグ U-18関西 2008@ビックレイクB 曇りのち雨
野洲高校 0-2 京都サンガ.F.C U-18
分厚い雲に覆われたプリンスリーグ開幕戦。今にも振り出しそうな雨が我慢しているかのような薄暗さの中、見慣れたエンジと紺のユニホームが姿を見せる。
このチームで戦う2008年度の初の公式戦。普段は明るい彼らも緊張の色は隠せない。
大事な初戦でもある。
『落としたくはない』。その気持ちが宙に浮く。
勝負は、すべて前半にあった。
「立ち上がりから主導権を握って、先制をして突き放す展開に持ち込みたかった」(山本佳司監督)
だが、課題としてきた試合の入り方は「最悪」(潮入)に近かった。
「久しぶりの公式戦やって、やってやろうって気持ちが強くて……。空回りした」(潮入)
焦りはミスを生み、気持ちを曇らせた。
前半、野洲に訪れたチャンスは0に等しい。
ゆっくりとボールを回しながらじわじわと野洲陣内に入り、スキがあれば一気に速攻に持ち込む京都の術中にはまっていく。「野洲がどういうサッカーをしたいのかよく知っていた」(山本監督)京都は、野洲の攻撃のポイントでもある坂本一輝(⑩/3年)―潮入のラインを分断させ、両サイドが上がったスペースを狙い両翼の攻撃参加も封じ込めた。ドリブルで仕掛けてきても2、3人で対応。90分を通し、野洲の攻撃に自由を与えなかった。
「守備はガツガツ来ていたし、(京都は)回して蹴ってくる。ウチが苦手とするパターンやから、仕掛けたくても仕掛けられないし、全然上がれなかった」(⑥上田大輔/3年)
主導権を完全に握った京都は、先制点を奪い、追加点を加え、野洲の追撃を許すことなく戦い続けた。足をつる選手、疲労困憊で動けなくなる選手も見受けられたが、それでも「野洲に負けたくない」という気持ちが、京都の体を動かし、心を熱くさせていた。
試合後、「相手がどうのじゃなく(野洲の)前半が悪すぎた」と藤野友貴(⑦/3年)は、視線を落とす。
山本監督も言葉を続けるように「負けるべくして負けた試合やね」と、目を細めた。
「このチームなら“勝てる”って、どこかで思ってた」
試合後、重たそうに西口諒(③/3年)が素直な言葉を口にする。
そしてそれは、ピッチに立っていた11人全員が心の奥底で思うことだった。
「でも、油断じゃない」(西口)
そしてもう一つ。選手たちの心に広がっていたのは「安心感もあったからかな。マリノスから帰ってきてから下降気味かもしれん」。
この春休み、野洲はほとんど休みなく遠征や練習試合に出かけていた。特にF・マリノスカップ(3月27-30日)での野洲の戦いぶりは、彼らに自信を、周囲に期待を抱かせるものだった。スコアを見ても、戦い方を見ても、野洲らしさがたくさんつまったあの4日間。チームとしての確かな手ごたえは、選手たちに安堵感も与えていた。
だが、好調のピークがF・マリノスカップにあったとしたならば、初戦であるこの日までの2週間、そのピークを持続させるのは困難に近い。彼らはまだ高校生。浮き沈みも当然ある。心のスイッチをうまく切り替えられないまま、プリンスリーグに突入してしまったようにも見えた。
“野洲らしく戦えば結果はついてくる”という自分たち自身への期待の中で、“野洲は野洲らしく”という思いの鎖に足をとられて動けなくなる。
昨年、主将だった青木亮都がこの試合を見ていて教えてくれた。
「野洲は野洲らしいサッカーをして勝たなきゃいけないと思われる。その中で(プリンスリーグの)初戦で緊張していたし、動きも固かった。でもそれは全国で勝ってからずっとついてきているものだから。これを超えないとね」
期待をされているのは嬉しい。それが頑張る力になる。野洲の選手たちは、自分たちに求められているものが何かと言うことも分かっている。でもそれがプレッシャーに変わっていくことも、彼らは“先輩たち”を見てきたから知っている。2年生だった昨年とは違い、もう次はないことも、自分たちが引っ張っていかねばいけないことにも、直面している。
F・マリノスカップ終了後、
『今年の野洲は強い、面白い』
そんな風にささやかれるようになっていた。
いつの間にか独り歩きしていたその言葉に応えたいという彼らの意地。
だが、この日は完敗だった。気持ちの歯車が少しだけずれたまま、最後まで戻すことはできなかった。
「恥かしい試合をしてしまった」(西口)
これからの1年。
きっと本人たちが思うより、彼らが進み続ける道はずっと険しい。
けれど、自分たちのサッカーにこだわりを持ってプレーをしたいという気持ちが強くある。“魅せたい”という思いもある。
だからこそ、この敗戦を受け止め、乗り越えていけるのか。
本当の“強さ”も“面白さ”も、その後にしか得られない。
山本監督が試合後、選手たちに声をかける。
「未来は変えらるんやから、チームとしてどう乗り越えるかやぞ」
次戦は4月20日。野洲はC大阪U-18と対戦する。
【野洲通信】は野洲高校サッカー部公認・協力の下、取材、記事作成をしています。
こぼれ話と写真はこちらに掲載中です↓
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- by 青柳舞子
- at 2008年04月18日 19:07
- in 野洲通信
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