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2008年04月30日

【野洲通信】3連敗

天を仰ぐ。
心の中でつぶやく思いは「また……」。

エンジとネイビーのユニホームが肩を落とし、下を向いてベンチに戻ってくる。
口を開く選手は誰もいなかった。

足早に控え室に戻り、いつもより長いミーティングを終えた山本佳司監督は一言だけ口にする。
「ご覧の通りや」

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【野洲通信】では、野洲高校サッカー部にご協力いただき、チームの1年を伝えていきたいと思います。
監督とスタッフ、そして選手たちが見せる表情を追いながら、彼らの目線で、新たな高校サッカーの魅力、面白さに迫っていきます。

第6回目は、プリンスリーグ関西第3節対ヴィッセル神戸ユースの模様をお伝えします。


JFA プリンスリーグ U-18関西 2008@ビックレイクC 曇りのち晴れ
野洲高校 2‐3 ヴィッセル神戸ユース
得点:坂本、藤野
※得点者は野洲のみです

開幕戦に完敗し、続く2戦目も逆転負け。
2連敗に落ち込み、悔しさをかみしめた1週間。

この一戦への意気込みは、試合前の表情で伝わってきた。
半分ふざけながら的当ての要領で小さなゴールへ向かいボールを蹴る。
「入ったら今日は勝つ!」
いくつものボールが吸い込まれるようにゴールにおさまっていく。

「今日は絶好調や」
まるで自分にいい聞かせるように、大きな声で気持ちを確かめる。

彼らの思いはただ『勝ちたい』。
それだけだった。

「この1週間の3連戦(4/27、29、5/3)は大きい。だから今日はある意味勝負やな。それに連敗から始まって、開き直りじゃないけど、もうやるしかないっていう気持ちになっとる」
試合前、山本監督もまた、自分に言い聞かせるように“やるしかない”という思いを口にしていた。

だが、結果は2-3。
スコア以上に重い現実。
「立ち上がりの失点が全て」
山本監督は一言、一言をかみ締めるように口にして、視線を落とす。

選手たちも同様に、少々強引に気持ちを切り替えてこの試合に臨み、このチームでの公式戦初勝利への期待がふくらんでいた。
それだけに、ショックの色は隠せなかった。

「今日は、ホンマに、絶対に勝ちたかった」(⑧潮入啓太/3年)

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この試合、勝負の分かれ目は2つあった。
1つは山本監督が言うように開始早々の前半4分に失点をしたこと。
野洲が「さあ、行くぞ」という矢先の失点は、選手たちの心に穴を開けた。「またか」という大きな穴。

そしてもう1つは、2得点したものの、さらなる追加点を奪えなかったこと。
ケガもあり、ここまでノーゴールだった⑩坂本一輝(3年)が、滞空時間の長い美しいヘディングでゴールを決め、さらに⑦藤野友貴(3年)が逆転となるミドルシュートを決めて野洲に追い風を吹かせたように見えたが、その後の決定的なチャンスを決めきれなかった。

「いいときだと、2、3点一気にいける。だけど前半でそれが奪えなかった。今の状態ではもう少し差を広げてないと苦しい」(山本監督)

坂本をはじめ、⑨福原拓巳(3年)や②松原賢志(3年)もケガを抱え、コンディション不良の選手も数名いた。それと同時に、激しいプリンスリーグを戦う中で、高校3年生となった彼らは、面談や進路相談など自分の将来を考える時期にもさしかかっていた。

“高校生”と“サッカー選手”の狭間で揺れ動く17、8歳の心。

迷い、悩み、模索しながら自分と向き合い、サッカーとも向き合う。
どちらも答えが見えずに苦しむ時間は誰にでもある。

「“高校生”としての悩みも抱えていたりする」
本音をちらりと教えてくれた言葉を思い出す。

それでも、乗り越えていかねばならないことは、彼ら自身が一番よくわかっている。

2年前。全国優勝した翌年に、重圧と勝ちきれない悔しさを抱えながらも戦い続けた彼らの先輩が話していた。
「自分の努力次第で道は拓ける」

きっと、苦しい今はその道の途中。
だからこそ、色々なことに悔しさともどかしさとジレンマを抱えても、やっぱりサッカーで、試合で「勝ちたい」と強く願う。
「次や、次」
絞り出すように口にした言葉は、彼らのサッカーへの思い。

その気持ちを持って、またピッチに立つ。
次はいつもの慣れ親しんだ野洲高グラウンドで。


【野洲通信】は野洲高校サッカー部公認・協力の下、取材、記事作成をしています。

こぼれ話と写真はこちらに掲載中です↓

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