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2008年09月15日
【野洲通信】秘策
選手たちがピッチに立ったキックオフ直前。
思わず目を疑いそうになる。
4バック、3ボランチ、3トップ。
「絶対に負けられない」
という状況で野洲が見せたのは
「勝ちに行く」ための秘策だった。

【野洲通信】では、野洲高校サッカー部にご協力いただき、チームの1年を伝えていきたいと思います。
監督とスタッフ、そして選手たちが見せる表情を追いながら、彼らの目線で、新たな高校サッカーの魅力、面白さに迫っていきます。
第12回目は高円宮杯全日本ユースグループ リーグ第2戦、対東京ヴェルディユース(東京)の模様をお伝えします。
高円宮杯全日本ユース グループリーグ@藤枝市総合公園サッカー場 晴れのちくもり
野洲高校 3‐2 東京ヴェルディユース
得点:潮入、上田、坂本 ※得点者は野洲のみです
「今日のゲームではサプライズがあるよ」
山本佳司監督が試合前に教えてくれたその意味を、ピッチを見ながら確かめる。
「4バックといっても今までとはサイドバックの役割が違うから新しい形だった」(①横江諒/3年)
「先週の練習で4-3-3になった。最初は驚いたけど、やりやすいと思う」(⑨上田大輔/3年)
選手たちも驚愕だったという布陣は「今日負けてしまうと(敗退が決まり大会が)終わってしまう。勝ちに行くため」(山本監督)ということに集約された。
この日の野洲は、ヴェルディに勝つために守備から入った。
これまでの野洲が見せた攻撃的なものではなく、前線からボールを追いカウンター気味にゴールを狙う。
前線の3人も自陣の深い位置まで下がってボールを奪いにいく場面も何度も見られるほどだった。
「ヴェルディの選手たちがとまどって焦っているのがわかった」と選手たちが口にしたように、野洲の変化は狙い通りにヴェルディのペースの崩し、前半に2得点を奪う結果につながっていく。
「相手に早い攻撃をさせたくなかった。遅攻にさせるように、前からボールを追うことを徹底させた。選手たちはよく走ったし、守ってくれた」と山本監督は試合を振り返る。ユースチームと真剣勝負ができる場は、決して多くない。だからこそ存分に力を発揮したいという思いの中で、あえて勝負に徹してみせた。リーグ戦だからこそできる、1週間での立て直しと切り替え。そこに「結果と試合内容にこだわって勝ち進みたい」というチームの意思があり、全日本ユースを戦う意味が深まってくる。
だが、優位に進められた前半とは変わり、さらに1点を加えた後半は疲労から足が止まりかけ、一人少なくなったヴェルディに3-2と1点差まで追い上げられた。
「決定機に確実に点を奪っていれば点差は広がっていたし優位に試合を進められたと思う。決定力のなさが明らかになったゲーム。結果を求め、それを得たという点ではよかったと思うが、決して納得はしていない」(山本監督)
試合終了のホイッスルを聞いて、ホッとした表情で天を仰ぐ選手たちの姿が印象的だった。
それでも、勝ち点3は勝ち点3。

「今日は絶対に負けられない」という全員の共通した意識の中で、勝つために選んだ道は“変化”。
だが野洲の変化は、ただそれだけではなかった。
選手の一人が口にする。
「今日はロッカーの雰囲気もいつもと違って、お互いに指示や修正点を言い合えた」
勝利のためにスタッフが考え抜いた秘策は、選手の心に火をつけた。
試合中に「切り替えろ!」「集中」と珍しいほどに大きな声が飛びかっていたのも、その表れなのだろう。
今、目の前に自分たちがやらねばいけないことが見えたとき、野洲の秘策は彼らの新しい武器になった。
新しいチャレンジの中で野洲らしく戦えるようにとそれを受け入れ、自分たちのものへと吸収する力が芽生えた一戦。苦しい試合を乗り越え、手にしたものは思っている以上に確かな重みがあるものなのかもしれない。
「次も勝たないとダメやんな」
そう口にする選手たちの笑顔に、その手ごたえを見たような気がした。
15日の市立船橋戦。
決勝トーナメントをかけた戦いは、彼らの真価が問われる試合になりそうな気配が漂っている。

【野洲通信】は野洲高校サッカー部公認・協力の下、取材、記事作成をしています。
高円宮杯のこぼれ話と試合の写真はこちらに掲載します↓
http://ao1230.cocolog-nifty.com/blog/
- by 青柳舞子
- at 2008年09月15日 01:25
- in 野洲通信
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