Main Contents

2008年09月23日

【野洲通信】勝敗

延長前半9分。作陽の選手がスルスルと野洲のゴール前に入って行く。
直後、ゴールを知らせる笛がなった。

と同時に、その笛は、高円宮杯全日本ユースにおける野洲の戦いに、終わりを告げる音でもあった。

yasu0921-30.jpg

【野洲通信】では、野洲高校サッカー部にご協力いただき、チームの1年を伝えていきたいと思います。
監督とスタッフ、そして選手たちが見せる表情を追いながら、彼らの目線で、新たな高校サッカーの魅力、面白さに迫っていきます。
第14回目は高円宮杯全日本ユースグ決勝ラウンド ラウンド16、対作陽高校(岡山)の模様をお伝えします。

高円宮杯全日本ユース ラウンド16@藤枝総合公園サッカー場 くもりのち雨
野洲高校 1-2 作陽高校
得点:坂本
 ※得点者は野洲のみです

「チームの状態がよくない。苦しい試合になると思う」
ウオーミングアップを見ていた山本佳司監督が、真っ先にそう口にした。

グループリーグを勝ち抜いて1週間。
藤枝に入った選手たちの表情が暗い。初戦のような固さではなく、緊張感でもない。

「この1週間で(調子が)落ちた」
「チームの雰囲気があかん」
選手たちの口からも、不安をのぞかせる声が聞こえてくる。

野洲に何が起きたのか。
選手の揺らぐ心がピッチに広がり、押しつぶされそうになっていた。

「頭に何も浮かんでこなかった」

対する作陽は、「思っていたより引いてきた」と山本監督が話したように、4バックと中盤の4人がブロックをつくり、パスの出所を厳しくチェック。ボールを持つと2人、3人と素早く囲いに走り前を向かせることなくボールを奪う。スペースを埋め、足元へのパスを通させないように、選手たちが連動して動いて行く。役割がハッキリとしている作陽は、奪ったら速攻をしかけ少ないチャンスを得点に結びつけた。

野洲らしさを封じた作陽。
もしかしたらそんなゲームだったのかもしれない。

野洲が野洲らしさを発揮できたのは、同点に追いついた場面。右サイドの⑦藤野友貴(3年)が自陣深い位置からドリブルに入り、止めにきた2人の中央をすり抜けクロスを入れる。中央で⑩坂本一輝は動かずに頭で合わせた。得点の匂いというものがあるならば、藤野が2人を抜いたときに、その香りは漂っていた。

だが、それだけだった。1-1のまま延長に入り、延長前半3分の間に野洲は大きなチャンスを2度、作っていたが、ゴールには至らない。山本監督はそのことを振り返って口にする。
「チャンスになったときに、いつもなら1つ、2つひらめく。そこでアクションが起こせて得点につながってきたが、今日はそれがなかった」

野洲のゴール前は、見ている者の予想をはるかに超えるプレーが出てくることが多い。ノールック、スイッチ、スルー、ヒール。ゴール前の緊迫した状況で瞬時にそのアイデアが出てくるからこそ、相手は迷い、判断が遅れる。そこで余裕が生まれてくるからゴールが見える。
それがこの日はカゲを潜めた。

一週間前、グループリーグをいい形で突破し、いい状態でこの試合を迎えられると思っていた。
たぶん選手たちも。

だが、歯車がどこかでぎくしゃくしてしまった。
「ホンマに、急にやで」
その原因に、答えはない。

「選手たちの中に、ここ(ラウンド16)まできたという達成感がどこかであったと思う。この大会にかける真摯な思いが作陽にはあって、自分たちのやるべきことをしっかりとピッチでやっていた」(山本監督)

安堵や慢心。そんな風に言われることもあるだろう。
でもそういった言葉で表現できないものもあった。

「なんだか、遠征に来ているような感じもした」
「公式戦が続いて、悪い意味で緊張感を保てなかった」
話を聞けば聞くほど選手たちのとまどいが、伝わってきていた。

戦いの間が空くというこの大会を勝ち抜くことがどれほど難しいか。
初戦から2戦目までの一週間とリーグ戦からトーナメント戦に入るこの一週間。
立て直しができた7日間と、崩れた7日間。

「去年の(覇者である)流経柏などは本当にタフ。モチベーションを下げずに選手権も勝つことは、すごいことだと思う」(山本監督)


それでも、「やっぱり勝ちたかった」。

今の自分たちに足りないもの。それを尋ねてみた。
山本監督も、選手たちも同じ言葉を繰り返す。
“気持ち”

相手がどうのではなく、自分たちがどうか。
それが勝敗をわけるもの。わけてきたもの。

「彼らは、高円宮杯初出場を自分たちで勝ち取ってきた。野洲の歴史を新しく開いて、決勝ラウンドまで勝ち進んできた。今まで野洲ができなかったことをしてきたのだから、それはチームとしても大きなこと。経験という意味でもそう。もっと自信を持って野洲らしく試合ができたら・・・・・・」
山本監督は、そう言って視線を落とした。

野洲の高円宮杯がラウンド16という結果を残して終わった。
経験、悔しさ、課題、手ごたえ。手にしたものはたくさんある。
それを持って、最後の大会へ。

yasu0921-27.jpg

「滋賀を勝ち抜くのは、本当に厳しい戦いになると思う」(山本監督)

選手権予選まで、あと1ヶ月。

自分たちがどうか。
野洲が野洲らしく戦えるか。
勝利という結果がついてくるか。

苦しんでいる今だから、自分と対峙して答えはきっと見つけられる。

彼ら自身の揺ぎない心の中に――。

【野洲通信】は野洲高校サッカー部公認・協力の下、取材、記事作成をしています。

こぼれ話と選手の素顔や試合の写真はこちらに掲載中です↓
http://ao1230.cocolog-nifty.com/

TrackBacks

トラックバックURL:

Comments

Post a comment

(フットボール定食 では不適切なコメントを防止するため、コメントを掲載する前に管理者がコメントの内容を確認しています。コメントを初めて投稿する場合すぐに掲載されませんが、管理者が適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

コメントフォーム

Copyright © 2006-2008 Football-Teishoku.All rights reserved.