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2008年10月21日

【東京国際大学通信】頂上決戦、誤審に泣き、本物のサッカーを知る

10月19日、埼玉県大学2部リーグAブロック最終戦、4勝1分で2位につける前田秀樹監督率いる東京国際大学は、5戦全勝の埼玉工業大学と対戦。
この試合で勝利したチームが1部昇格を果たすという「頂上決戦」となった。

5試合で得失点差42と圧倒的な強さを誇る埼玉工業大学は埼玉県の強豪校・正智深谷高校の付属大学であり、高校時代から一貫した強化でここ数年力を上げてきている。
そうした長期的な強化が実りはじめ、いよいよ収穫の時期を迎えようとしている脂の乗った大学である。
そんな強豪を相手に対し、東京国際大学は不利が予想された。
しかし、蓋を開けてみれば、互角以上の展開。後半開始早々に埼玉工業大が先制するものの、後半40分に東京国際大が同点に追いつく。
手に汗を握る展開となった後半43分に、事件は起きた。


※「今までやってきたことを出し切ろう」。前田秀樹監督の言葉に選手たちはしっかり応えた。

華麗なパスワークでDFを翻弄した東京国際大の中盤から見事なスルーパスが送られた。
最初、FWの選手はオフサイドの位置にいたものの、プレーに関与せず、2列目から飛び出した選手にボールが渡った。そして、GKと1対1になるという決定的な場面となった。
逆転ゴールが生まれるかと思われたたそのとき、主審はオフサイドの判定で笛を吹いたのであった。
この判定に前田秀樹監督は激怒。「あなたは今のオフサイドのルールを知っていますか? これがオフサイドのわけないでしょう」。ベンチの目の前でおきた出来事だけに前田監督はベンチから出て行き、主審に食いかかった。
だが、判定が覆ることはなく、ゴールは認められず、1対1のまま試合は終了することとなった。


※途中出場で入った唯一の4年生望月くんの突破から同点ゴールは生まれた。

試合後、勝利を逃した選手たちは立ちすくんだ。
だが、この日見せた東京国際大のサッカーは見事なものだった。
今年2月、前田秀樹監督が就任したときにはランニングさえついてこれなかった選手たちが、これほどまでに成長するものかと驚かされるものがあった。
ひとり一人の技術はもちろんのこと、11人全員がゾーンとコンパクトを意識した組織的な守備を披露。大学県2部リーグのチームとは思えないシステマチックなサッカーを見せてくれた。
この試合ではスタートこそ3-4-3であったが、試合展開によって3-5-2、4-3-3とめまぐるしくシステムを変更したものの、選手たちはスムーズに対応し、時間とともに相手を混乱に陥れた。
技術と戦術で相手を凌駕した東京国際大学だったが、最後の最後で誤審に泣くこととなってしまった。


※泥だらけの中で行われた9月21日の防衛医大戦。2点のビハインドを追いつく粘り強さを見せた。

9月からはじまったリーグ戦。東京国際大学は万全の状態で大会に臨んだわけではない。
大会1ヶ月前に正GKだった韓国人留学生が経済的な理由で帰国。サブGKがいなかったため、急遽フィールドプレーヤーをコンバートすることとなった。
さらに昨季J2水戸でプレーをした島貫純くんが大会直前に左ひざ靭帯を損傷。そして、エースストライカーの大場俊宏くんもリーグ2戦後に右足首を剥離骨折するというたび重なるアクシデントに見舞われることとなった。
まさに満身創痍でのリーグ戦となったが、それでも選手たちはたくましく戦った。
埼玉工業大をはじめ、周囲のチームは3、4年生(防衛医大は5、6年生)が中心だったため、1年生中心の東京国際大はフィジカルで劣り、苦しむ場面もあったが、いずれの試合も主導権を握るにいたった。
第3節の防衛医大戦では0対2のビハインドから同点に追いつくという精神的な強さも見せるようになった。
わずか6戦というリーグ戦だったが、試合ごとに選手たちの成長が手に取るように感じられた。


※練習での一コマ。時には厳しく、時には優しく、そんな前田監督の指導に選手たちは必死についてきた。

チーム発足から定期的にこのチームを見てきたが、技術面、戦術面、そして精神面で正直これほどまでのチームになるとは思わなかっただけに、あらためて前田秀樹監督の手腕に感服させられることとなった。
そして、よく選手たちもついていったなとも思う。
試合後、泣きじゃくる選手たちを見て、スカウティングの東澤憲二氏はこう語った。
「彼らのほとんどが高校時代には2軍以下だった選手です。だから、こうして本気でサッカーをやるのははじめてだったのでしょう。こういう悔しさもはじめてなんだと思います。これから彼らは変わると思いますよ。本物のサッカーを知ったんだから」
今年の選手でサッカー推薦で入学した選手はおらず、「ただサッカーが好き」という気持ちで部に入ってきた生徒ばかり。そんなわずか20人足らずのチームを前田秀樹監督は本当にうまくまとめあげてきたと思う。
この日、流した“はじめて”の涙の味が彼らをさらに強くするに違いない。


※この日の悔しさは彼らの人生において大きな糧になるに違いない。

ただ、まだ1部昇格のチャンスがなくなったわけではない。
埼玉県1部リーグから関東2部リーグに昇格するチームが出れば、昇格の枠は1つ増えることとなる。
そのためにも26日に行われるBブロック2位との3位決定戦に勝って、朗報を待ちたいところだ。

そして、来年に向けての準備も着々と進んでいる。
70人以上の入部が予想されており、そのなかの半数近い生徒が全国でもトップクラスの高校のレギュラーだという。
いよいよ来年から東京国際大学は「本気モード」に入ることとなる。

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