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2009年01月13日

第1回茨城県フットボールカンファレンス「地域の情熱が日本サッカーを変える」

1月10日、12日の2日間、茨城県ひたちなか市で第1回茨城県フットボールカンファレンスが行われた。

2つのJクラブ(鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック)、さらにJリーグを目指すクラブも2つ(つくばFC、アウローラ日立)あり、そして筑波大学や流通経済大学といった大学サッカーの強豪校や今年度の高校選手権でベスト4に進出した鹿島学園の存在など、サッカーにおいての環境が充実しているように思われる茨城県だが、「みんなそれぞれの場所で頑張ってはいるけど、これまで一つにまとまることができなかった」という佐藤誠一郎指導普及委員長の言葉通り、「県」としての方向性を示すことができず、環境の充実度に対して必ずしも人材の輩出は比例しているとは言いがたいものがあった。
そうした状況に危機感を抱いたことが、今回のカンファレンス開催のきっかけとなった。
「こうした試みは他県ではすでにやっていることで茨城県は遅れていると思います。ただ、みんなが何かをやらないといけないと思い、こうして自分たちの情熱がまとまって爆発することができた。大きな一歩踏み出せたと思います」と同委員長は胸を張った。

内容は2種から4種、さらには女子、審判、GKといった各種の現状の取り組みと課題を発表。1日目には元U-20代表監督・吉田靖氏のレクチャーが行われ、、2日目の午後からは2人のJリーガー(佐々木竜太、大和田真史)が参加してのパネルディスカッションを開催。
すべてそれぞれの人の熱い思いと冷静な分析が込められており、大変参考になる話であった。
その中でも特に2日目のパネルディスカッションは県が抱える現状の課題が端的に示され、興味深い内容となった。なので、ここでそのディスカッションでのやりとりの一部を紹介したいと思う。

ただ、これは決して茨城県だけの問題ではないはず。どの地域でも共通して抱えている問題であり、これこそ日本サッカーの現状と言えるだろう。
地域の発展なくして日本サッカーの強化はない。地域の叫びにぜひとも耳を傾けてほしい。

【パネルディスカッション】 テーマ「長期一貫指導を成果あるものにするために」
司会:南雲康司(ユースダイレクター)
パネリスト:池田明子(女子委員会)、木内宏(審判委員長)、中江哲史(指導普及委員会副委員長)、笹島武(第4種技術委員長)、大森剛(第3種技術委員長)、中田佳成(U-16トレセンコーチ)、佐々木竜太(鹿島)、大和田真史(水戸)、大内啓行(技術委員長)、佐藤誠一郎(指導普及委員長) ※Jリーガー2人は後半から参加。大内、佐藤は全体ディスカッションから参加

-一昨日の発表で2種から「クサビのパス」の必要性が言われました。つまり意図のある縦パスを入れないといけないということですね。全体的にそのほかに課題はありますか?
中田(2種)「県のトレセンリーグで多かったのはスピードが上がったり、相手のプレッシャーが速くなったりするとミスが目立ってしまう。それが技術の問題なのか、判断の問題なのかというところですね。それとボールのない選手の動きの質をもっと高めないといけないと思いました」
大森(3種)「個人的に思っているのは個を育てることが大切だと思ってますが、どの年代からチームとしてのサッカーの質を鍛えるかということ。いつから(戦術的な問題など)自分たちで判断させるかということに関しては悩んでますね」
笹島(4種)「現在の4種は大会が多すぎます。試合が多いのは悪くないが、大会のほとんどがトーナメント。だから勝ちたい気持ちが強くなり、蹴るサッカーになってしまい、メンバー固定につながってしまう。何のためにやっているのか? 勝てないのは何でなのかを考えることが大事。将来子どもをどうしたいのかというビジョンを持たないといけない。県として目的を持ってやらないといけない。あとは親とのかかわりですね。茨城は少年団が多いのですが、少年団には父母の会というのがあり、そことの関係が難しい。もっと自分たちでサッカー以外のことをやらないと自立や判断ができなくなる。なんとかしないといけない」

-そういう様々な課題があると思いますが、指導者の質もまだまだ挙げないといけない。指導者における課題はどこにあると思いますか?
中江(指導普及)「クリエイティブでたくましく、そして自分で判断できる選手を育成するのが理想です。そのためには指導者がクリエイティブでなければいけない。ただ、県の現状を見ると、各種で選手の判断を奪ってしまうような指導が多い。指導の質の向上のため、指導者はもっとオープンマインドにならないといけない。常にアンテナを立てて様々な情報を入れること。自分の経験だけに頼らない指導をしないといけない。以前JFAフットボールカンファレンスの場でフランスのエメ・ジャケさんがこう言ってました。『指導者は学ぶことをやめたときに教えることをやめないといけない』と。ぜひ、みなさんもそれを心がけて取り組んでもらいたいですね」

-女子の指導者の質や人数についてはいかがですか?
池田(女子)「選手は増加しているのですが、指導者が少ないのが現状です。ただ、指導者が少ないことで選手をずっと同じ指導者が見ることができ、一貫強化できているというメリットはあります。ただ、現在U-12に関しては県トレセンしかない状況です。本当は各地区でトレセンを行い、その上に県トレセンがあることが理想なのですが、指導者がいないことで地区トレセンを行うことができてません。
そして、コーチを育てることも大事だと思いますが、今女子は3種4種の選手がどうサッカーを続けていくかということが問題です。そういった選手の受け皿の問題を含めてみんなで情報交換をしていかないといけないと思ってます」

-現在、育成年代でのリーグ戦の必要性が求められています。わが県では2種、3種ともに県リーグを発足させていますが、リーグ戦のメリットはどこにあると思いますか?
中田(2種)「とにかく公式線が増えることは大きいと思います。定期的に試合ができることで、テスト期間でも練習できるようになりました。サッカーできる時間が増えたことが一番大きいですね。トーナメントと違い、リーグのスパンで戦えるし、メリットは大きいですね」
大森(3種)「メリットはたくさんある。今年度までは3種では他にも小さな大会がたくさんあり、調整するのが難しかったのですが、来年度からはもっとスムーズになりそうです」
-各年代でのリーグ戦の発展が今後の強化の大きな柱になりそうです。リーグ戦だと対戦相手を分析したり、試合によって戦術を変えたり、様々な対応の仕方ができるようにになり、指導者も選手も柔軟になると思われます。さて、4種では8対8も推奨されていますが、その辺に関してはいかがですか?
笹島(4種)「リーグ戦は4種でも重要です。JFAもそう言ってますね。ただ、JFAは言っているだけなのではないでしょうか。そのために夏の全国大会のあり方を変えないといけない。とにかくあれをなくしてほしい。リーグ戦をやっている場所もあるが、短期で終わってしまいます。もっと長いスパンでのリーグ戦が4種でも必要です。そして、8対8に関してですが、個人的には怖さがあります。コートが狭くなるので、ゴールの意識が強くなるあまり、ボカ蹴りのサッカーになる可能性が高いように思われます。たくさんボールを触れて、いろんな局面ができるという点で8対8の導入はいいですが、ボカ蹴りサッカーになってしまうかもしれない。どう発展させていくか各指導者がしっかりビジョンを描かないといけないと思いますね」

-レフェリーの育成における役割はどのように考えておられますか?
木内(審判)「まずリーグ戦が導入されたことで試合が増加しました。だからこそ、選手を守るためにいいプレーと汚いプレーの見極めが大事になってくると思います。ただ、育成という面においては多少のファウルでも頑張れる姿勢を持った選手が育ってほしい。コンタクトプレーに関してはそれを促す笛を吹いていきたいと思ってます。そのために汚いプレーは絶対に許さないという姿勢が必要。選手が壊れてしまいますから。審判、選手、指導者、それぞれを尊重してルールを守ることが大事だと思います」

※佐々木、大和田登場

-2人は茨城県出身でトレセンにも選ばれていました。トレセン活動などで記憶に残っていることはありますか?
大和田「僕は中学から鹿島のジュニアユースでプレーしていたのですが、そこで『ピッチの内外でプロを意識しろ』と言われました。そこからプロ意識がついたことはよかったと思いますが、反面、トレセンなどの集まりに行ったときは天狗になってしまい、コーチにとって嫌な選手だったかもしれないですね」
佐々木「僕も大和田選手と同じです。それと、トレセンでは集まってサッカーをするだけで、他のチームの選手と話す場を持つことができませんでした。自分でもっと話しかけていけばよかったのかもしれないですけど、食事などでそういう場を作ってもらえれば、もっとよかったなと思います」

-なるほど。トレセンは選手育成の場であり、指導者育成の場でもあります。そういったチームのまとまりを作ることも指導者には求められています。
大森(3種)「2人の発言を聞いて、指導者と選手の違いを感じました。すごくありがたいご意見でした。僕も最初に県トレセンを率いたときは鹿島の選手にビビッてしまった。力不足で鹿島の選手と距離を置いてしまったことがありました。ただ、鹿島のコーチからも歩み寄りがありますし、そういった面は今はなくなっています。どんな選手に対しても納得させられる指導者じゃないといけないと思います。
佐々木さんの件に関して、放任と自由はまったく違います。指導者が選手をコントロールできないと選手に失礼。コミュニケーション能力の話になりますが、選手まかせにしないで指導者はそういう場面を作ってあげないといけない。舞台を作ってあげて、その後、選手たちの自主性にまかせるようにしないといけない。選手のコミュニケーション能力を上げるのも指導者の問題だと思います」
-指導者が仕掛けて、その中で選手に行わせないといけない。「判断」は大事だけど、放任はいけない。投げかけた上で、考えさせることが指導ですね。判断させる材料を提供することが大事ですね。


ちなみに第6回JFAフットボールカンファレンスは今月16日から3日間、石川県金沢市で行われる。

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