Main Contents
2008年07月27日
レフェリングに対してのクラブの姿勢
「Jリーグに今日のジャッジに対しての意見書を出しますよ」。福岡戦後、水戸・沼田社長は怒りの色をにじませながら語った。
たしかにこの日のジャッジ基準はあいまいだった。乱れ飛んだ10枚のイエローカード。「子供たちに見せられる試合ではなかった」と沼田社長は憤る。
問題となったのは退場になった小澤の2枚の警告の1枚目。本来はビジュに出される警告が小澤に出されてしまったという。
しかし、それはあまりにムシの良すぎる話だ。
前節終了間際、ビジュに出されるはずの警告が村松に出されることとなった。もし、それがビジュに出されていたら、累積警告で福岡戦は出場停止。それゆえにその人違いは黙殺されることとなった。
そうした姿勢にフェアプレー精神は感じられない。
自分たちの都合のいいときには黙っていて、都合が悪くなれば文句を言う。それでは「意見書」の正当性も疑わずにはいられない。
それは水戸だけの話ではなく、レフェリングを正すためにもそうしたクラブの姿勢も考えるべきなのではないだろうか。
また、沼田社長が出て行ってなだめる場面があるほど水戸のベンチからの執拗な抗議も試合に水を差した。
以前、あるクラブのスタッフから「水戸のベンチからのヤジは汚すぎます」と(なぜか私が)注意されたことがある。ベンチも含め、サッカーに携わるすべての人がジャッジというものをもっと理解することがジャッジ能力を上げるためには必要なことだろう。
無駄なヤジは試合を壊すだけである。
レフェリング問題はレフェリーだけにあらず。クラブや選手・監督の姿勢も正すべきところがあるように思われる。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 佐藤拓也
- at 10:40
- in コラム
2008年07月13日
荒田智之を北京に連れて行け!
拝啓、反町康治殿
北京五輪出場メンバー発表を明日に控え、様々な苦渋な決断を強いられ、苦しまれている心中お察しします。そして、すでに心を決められていることも十分承知しております。ですが、最後に1人だけどうしても見てもらいたい選手がいます。
水戸の荒田智之です。
現在、4戦連続ゴールを決めている乗りに乗っている22歳のストライカーで、裏への飛び出し、そしてゴール嗅覚に優れており、ルーキーながらも水戸の攻撃を牽引する存在であります。
また、現在J2最多の69本ものシュートを放っており、大久保嘉人選手が招集できない現状の中で、彼のゴールへの意識の高さは現在の五輪代表に足りないピースであることは間違いありません。攻撃だけでなく、守備でもさぼることはありません。
J2、そして水戸といった先入観にとらわれずに一度VTRでいいので、見ていただきたいと思います。決して時間の無駄にはならないはずです。
サプライズ、期待しております。
敬具
- Permalink
- Comments (1)
- Trackbacks (0)
- by 佐藤拓也
- at 12:31
- in コラム
2008年06月08日
相手が悪かった。
日本代表がそうであるのと同様か、それ以上にオマーン代表にとって負けは許されない試合だった。だからこそ、彼らはあがき続けた。
日本に住んでいる限り、中東諸国のW杯への思いはなかなか伝わってくることはない。しかし、日本がW杯への出場を熱望しているのと同様に、オマーン代表や同国のサッカーファンにとってW杯への思いは強い。そして1次予選から勝ち上がってきた彼らにとって、この日本戦が最終予選に勝ち上がるための最後のチャンスだったのである。だからこそ、彼らはこのタイミングでの監督交代に踏み切る。試合までに準備された時間は絶望的に短かったが、変えるリスクよりも変えないリスクを重視した。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 江藤高志
- at 17:34
- in コラム
2008年05月27日
日本代表プレビュー。パラグアイ戦に臨む日本について
○湯浅建二さんの見方
コートジボワール戦を取材した湯浅さんに、このパラグアイ戦に臨む日本代表について聞いてみました。
Q:コートジボワール戦を受けての問題点は?
A:クリエィティビティと汗かきのバランス。日本はクリエィティビティを全面に押し出してやれるチームなのかということ。突き抜けた才能を持ちつつ、汗をかける選手が必要じゃないのかということ。もちろんそれは当然誰もがほしがる才能だが「ほしがるよ。それができればいいね」で諦めてはダメ。日本の指導者は、素晴らしい才能を持つ選手に動くことを教え込まなければならないと思います。ただ、それは育成の話なので、これくらいにして。
ということでコートジボワール戦を見ていて気になったのは松井と大久保。彼らの運動量はまだまだ少ないのではないかと思う。
彼らは決定的な場面を作れてはいなかった。足元の技術の高さイコールクリエィティビティではないということ。ボールを持って、一人かわして決定的な場面を作ってこそのクリエイティビティじゃないかと思います。
サッカーの本質として、攻撃はシュートを打つこと。守備はボールを奪うこと、が目標になるわけですから。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by system
- at 18:26
- in コラム
2008年03月12日
J2、楽しみな幕開け
先週末に開幕しました今季のJリーグ。
僕はJ2を中心に湘南対仙台、水戸対C大阪を生で、徳島対横浜FCを映像で見ましたが、いずれも興味深い結果と内容でした。
結果は湘南1-0仙台、水戸0-2C大阪、徳島0-2横浜FCというものでしたが、すべて敗れたチームがボールを支配し、人もボールも流動的に動きながらチャンスを多く作り出してました。
その反面、なんとしても結果がほしい開幕戦において、リスクをかけずに辛抱強く戦ったチームが勝ち点3を得ることになったのです。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (1)
- by 佐藤拓也
- at 08:32
- in コラム
2008年02月10日
本当の「緑」とは? 残念な決断
水戸市にはツインフィールドというグラウンドがある。
ここは01年に作られたサッカー・ラグビー場で、ツインフィールドという名の通り、スタンドを挟んで2面のピッチが取れるようになっていて、水戸ホーリーホックが練習に使用するのをはじめ、週末にはキッズの大会など幅広く使用されており、市民のサッカー・ラグビーの発展の場として広く親しまれている。
日韓ワールドカップの時にはコスタリカ代表のキャンプ地に内定。結局、コスタリカ代表は韓国ラウンドに入ったために実現できなかったが、ワールドカップ出場国から認められるほどの高い機能性を擁したグラウンドであった。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (1)
- by 佐藤拓也
- at 00:01
- in コラム
2008年02月07日
日本代表対タイ代表 4-1-3-2の熟成
雪の日にもかかわらず最終的に35,130人の観客が詰めかけ、ワールドカップ予選という大一番らしい体裁が整い、かつ日本が勝利したことを、まずは喜びたい。そして主力四人を欠きながら、全力でファイトしたタイを褒め称えたい。タイはとてもモラルの高いチームだった。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (1)
- by 後藤勝
- at 02:57
- in コラム
W杯予選・タイ戦レビューその3
勝利したタイ戦についてサッカーダイジェストの飯尾記者に語ってもらいました。
彼自身はこの試合の結果について、かなりポジティブにとらえているようでした。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by system
- at 02:26
- in コラム
2008年02月06日
W杯予選・タイ戦レビューその2
試合後の監督会見。ミックスゾーンでの選手コメントを聞いた上で、後藤勝がタイ戦の感想を述べました。
試合を評価するときの参考にして頂ければ幸いです。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by system
- at 22:42
- in コラム
W杯予選・タイ戦レビューその1
前半は冷やりとしましたが、無事W杯予選の初戦を乗り切った日本代表。そのタイ戦の雑感をまずは浅野賀一に語ってもらいました。
○浅野賀一
タイは予想通り、かなり日本を研究していましたね。ただ引いてスペースを埋めるだけでなく、味方のSBの裏を徹底してCBがケアしていました。これは高い位置に張り出したSBを攻撃の起点にする日本の攻撃スタイルを想定してのものだと思います。
日本のサッカーにしっかり対応してきたタイの健闘もあって、結局、完璧に崩した形で点は取れませんでしたが、収穫もありました。ボールを取られ後の守備です。1点目に繋がった遠藤のFKを獲得したシーンが典型ですが、ボールを取られ後にすぐに近くの選手で囲い込んでボールを奪い、逆にカウンターに繋げています。
近い距離に密集し数的優位を作りコンビネーションで崩していくのが岡田監督の目指すサッカーですが、密集するということはそれだけボールを奪われる可能性が高くなるので、むしろ重要なのはそこでボールを失った後の素早い攻守の切り替えになります。また、人口密度が高いのでしっかりプレッシャーをかければ奪い返せる確率も高いですし。この試合では、ボールを奪われた後の守備の完成度がかなり上がっていました。もしかしたら、この「カウンター返し」が岡田サッカーの要になるかもしれませんね。
ただ、この守り方はスタミナを消費します。運動量とピッチ上のパフォーマンスが、そのまま連動するサッカーとでも言いましょうか。この試合では運動量の多かった山瀬から順に前線の3人を交代させましたが、中村、遠藤にもかなりの負担を強いているので、交代枠の使い方は今後のポイントになってくるでしょうね。あるいは運動量が落ちた時の別の戦い方を考えるか。
最後に右SBの内田について一言。19歳の彼をこのプレッシャーのかかる大舞台で起用した岡田監督はさすがですね。最近のA代表は若手がまったく出てこなくて悩みの種でした。最年少選手が25歳以上なんて、ワールドカップを目指す国ではあり得ないですよ。多少、むりやりでも世代交代していかなければ危険な状況でした。若手は使われると化ける選手がいます。内田も試合ごとによくなっていって、SBの攻撃参加がキーポイントになりそうな戦術なので、そう遠くない将来、日本代表のキーマンと呼べる存在になるかもしれません。彼に続く選手が、あと一人、二人出てきてほしいですね。個人的に期待しているのは、ガンバの安田とカターニアの森本かな。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 浅野賀一
- at 22:01
- in コラム
2008年01月29日
小林宏之、大分入り~ピンチをチャンスに変えた男~
彼と会ったのは昨年の夏ごろだったと思う。
彼は所属していた北信越1部リーグフェルヴォローザ白山・石川FCが経営難となり、契約を解除され、Jクラブのテストを受けに回っていた。
その数チーム目の練習場で偶然出会い、じっくり話をした。
クラブがなぜ経営難になったのか、そして、それから何をしてきたのか、さらには現在小林自身がどんな状況なのかなどなど。
当然のように彼は焦燥感にかられていた。
「何をしたらいいのか」。
藁をもつかむ思いで僕に意見を求めることもあった。
小林宏之、大分入り~ピンチをチャンスに変えた男~の続きを読む…
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 佐藤拓也
- at 09:54
- in コラム
2008年01月28日
ファン、サポーターとメディア アメとムチ そしてビエルサ
初戦を迎えた岡田ジャパンへの賛否両論のひとつとして、昨晩のエントリーが『サポティスタ』にリンクされていた。当サイトを含め四つの「賛」のあとに、「否」のソースがふたつ紹介されている。意外に「賛」が多いよね、言っているところにはうなずけることもある、でもそれじゃ娯楽として見ている観客や視聴者は納得しないよ、というニュアンスの記事構成のように思える。
ファン、サポーターとメディア アメとムチ そしてビエルサの続きを読む…
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 後藤勝
- at 12:00
- in コラム
2008年01月27日
岡田ジャパンは酷評されるべきか 「完璧な設計図と納期のバランス」
チリ戦から一夜明けると、新聞もインターネットも、マスメディアもファン、サポーターも、失望感からか岡田ジャパンに対して酷評の嵐である。既に戦術を習熟していた、ビエルサ率いるチリとの比較もあっただろう。しかし一試合めでこき下ろすのは、いかにも気が早い。
岡田ジャパンは酷評されるべきか 「完璧な設計図と納期のバランス」の続きを読む…
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 後藤勝
- at 20:00
- in コラム
2008年01月24日
約束の赤いスパイク
徳島の練習を見ていて、一際目立つ赤いスパイクを履いている選手がいた。
彼の名は本間康貴。
今季、徳島ヴォルティス・アマチュアからトップに昇格してきた24歳のGKである。
「いいスパイクだね」と声をかけると、本間はニヤリと照れ笑いを浮かべた。
彼のスパイクが目立っていたのは決して派手な色だからではない。熱い熱い思いがその赤さを、より一層まばゆいものにしているのであった。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 佐藤拓也
- at 10:05
- in コラム
2008年01月23日
プロであるまえに、人間やから傷つくねん
偶然だったと記憶しているが、2006年のちばぎんカップを取材した。千葉だったか、柏だったか。それともその両方だったか、のサポーターにシーズンを占ってもらうというような依頼をもらったんじゃないかと思っているが、あまりよく覚えてない。
スタジアムの入り口付近からコンコースまで動いて話を聞いて、写真を撮らせてもらって体裁を整えて、大方依頼された素材ができた事もあって、改めてフクアリをじっくりと見て回ることにした。そこでたまたま柏サポーターの試合前のミーティングの場面に遭遇することとなった。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 江藤高志
- at 11:49
- in コラム
2008年01月15日
第二回トライアウト
第一回目に比べると、第二回目のトライアウトは参加選手にとってより厳しい現実の舞台となる。
たとえば第一回のトライアウトに参加し、最終的に川崎Fと契約した大橋正博は、知人からの助言もあって、挑戦してみたという発言を残していた。要するにすでにオファーは来ているが、もう少しいろいろな可能性を追求してみたい、という事である。
それに比べると第二回目の参加者の言葉は、厳しい現状認識が含まれるものとなる。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (1)
- by 江藤高志
- at 20:25
- in コラム
2007年12月03日
大木監督、男泣き、にもらい泣き
何気なく見ていたJ1最終節。再放送の甲府対FC東京。
試合後に最終戦のセレモニーが行われていた。
いままで何人かの退任する監督のシーズン最後の挨拶を見てきたが
これほどまでに見る人の涙を誘う挨拶はなかった。
大木監督の挨拶の冒頭はJ2降格に対するお詫びの言葉。
個人的な意見を言わせてもらえば
戦える戦力が用意されていたのかどうか、という部分も含め
結果はフロントと現場、そして強いて言うならサポーターとの総合力で出るものであって
監督一人が全ての責任を負うものではないと思っている。
だから、あれだけの観衆の前で、あんな形で謝罪する必要ないと思うのだが
まあ実直な大木監督の事である。それはするものなのである。
謝罪すべきかどうかの是非とか、議論とかのレベルではないのである。
それはそれとして、そこからの木訥とした挨拶は素晴らしかった。
涙無しでは見られなかった。
- Permalink
- Comments (1)
- Trackbacks (1)
- by 江藤高志
- at 01:44
- in コラム
2007年07月15日
カナダから帰国!チェコ戦は異様な雰囲気でした。
カナダはヴィクトリアから帰国した安藤です。
U-20W杯でU-20日本代表は惜しくもラウンド16でチェコに敗れ、大会を後にしました。チェコ戦のスタジアムの雰囲気は本当に異様でした。カナダの観客は国がどうこうよりも、負けている方を応援する傾向がありました。なので、2点リードするまでは日本よりの声援だったのですが、2-0になった途端に、これまで味方だった観客がチェコ側に変わりました。びっくりするくらいの変わりようでした。あの2つのPKは会場全体の異様な雰囲気も影響しました。あのとき、周りはすべてチェコファンになっていました。梅崎が「会場の異様な雰囲気に飲まれてしまった」と語ったように、取材陣もあの雰囲気には飲まれました。それほど異様でした。
2-2になってチェコがひとり退場すると、その雰囲気は一気に加速。本当にあの雰囲気は凄かったです。
本当は今エドモントンにいるはず…と正直無念は残りますが、反面に感謝の気持ちが大きいです。本当にこのチームは魅力的で、素晴らしい戦いを見せてくれました。立ち上げから追いかけてきて、本当に密度の濃い2年半を過ごすことが出来ました。
彼らには次なるステージに向けて、是非羽ばたいていってほしいですね。
- Permalink
- Comments (1)
- Trackbacks (0)
- by 安藤隆人
- at 12:47
- in コラム
2007年01月10日
森田真吾、引退
森田真吾(甲府)が引退するという。
多くの人は彼のことを知らないだろうが、一瞬だけ彼は輝いた時期があった。
01年に順天堂大から横浜FCに入団すると、1年目から爆発的なスピードと驚異的な左足のキックでレギュラーポジションを確保。左サイドで自由自在に暴れまわる彼のプレーは観る者を魅了。少なくとも僕は彼のプレーにトリコとなった。当時2-4-4システムを採用し、超攻撃的サッカーを志した信藤健仁元監督も「森田がいたからこそ、攻撃サッカーをやろうと思った」と言うほどであった。
だが、彼は精神的に弱く、練習態度や私生活に問題があり、その能力を伸ばすことができなかった。
02年途中に横浜FCを放出された後はTDK秋田、FKラード(旧ユーゴ)、そして、水戸を渡り歩いたが、どこにも定着することができず。
昨年は「01年のプレーを取り戻させる」と豪語する甲府・大木武監督の下で再出発をすることとなったが、期待に応えられずに戦力外通告を受けることとなってしまった。
1回目のトライアウトを受け、その翌日には愛媛FCのテストを受けに行ったものの、不合格。
もはや気力を失った彼は引退を決意することとなったのだ。
とにかくやんちゃだった森田。夜の方の伝説は数限りない。ここで書くこともできないことばかりだ。
だが、その危うさも彼の魅力であった。ある意味、日本のジョージ・ベストであった。
そんな彼がスパイクを脱ぐという。
第二の人生が彼を待っている。間違っても指導者の道には進まないだろう。
故郷の高知あたりで漁師をやるかもしれない。それはそれでいいだろう。
とにかくお疲れさま。いろんな意味で楽しませてもらったぜ。
- Permalink
- Comments (5)
- Trackbacks (0)
- by 佐藤拓也
- at 14:33
- in コラム
2007年01月07日
コミュニティFMの挑戦(3) -敷居の低いコミュニティFMによるJリーグ中継-
コミュニティFMにおけるJリーグ中継は、すでに何度も行われている。その実態を見てみると、コミュニティFMに価値と伸びしろがあることがわかる。
サッカーの放送権料というと、どの程度の金額を想像するだろうか。テレビの独占放映権については、年間で50億円程度と推定されている。一方ラジオは1試合単位であるが、県域FMで10万円単位、コミュニティFMではJ1の試合で1万円程度、J2であれば数千円程度と言われている。これは、前回に触れたように、Jリーグ、クラブともラジオを普及のためのメディアであると考えている現れである。2007年シーズンも同様の金額の見込みだ。Jリーグ中継を行うための費用は、放送権料以外にも一般的に掛かる放送制作のための費用がある。その内訳は、アナウンサー、解説者の報酬、放送機材の調達、制作体制の確立などであるが、合計でも1試合数十万円あれば放送が可能。前述の放送権料とあわせても、その程度の額で放送が実現できる。J1のホームゲームは年間17試合だから、年間数百万円あればシーズンを通じた放送が実現できるのである。この金額は、実はJリーグクラブが捻出してもよいぐらいの金額でもある。
コミュニティFMでも、この点に着目し、この金額に見合ったスポンサーを見つけることによって、中継を実現させはじめている。FM湘南は、toto GOALの宣伝をしたいtotoがスポンサーになることで中継を実現したことがある。放送の時間設定を自由にできるコミュニティFMの特性を生かし、試合前のスタジアムの様子や、試合後の監督記者会見までを完全中継するなど、独自の工夫もしている。この実績をベースとして、地域で行われている他のスポーツの中継も企画している。コミュニティFM側も、スポーツ中継を本気で考えるようになってきているのである。
TV中継に注目が行きがちなサッカー中継であるが、コミュニティFMを活用することで安価に露出を増やすことができるし、これまで注目されていなかったことが不思議である。TVやAM放送はすでに放送枠が一杯で、野球だけでなく、他のコンテンツとの競合状態だが、コミュニティFMはそうではない。コミュニティFMを活用した中継に対しJリーグや各クラブが少しだけ腰を入れるだけでよい。2007年は、その絶好のチャンスではないだろうか。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 松尾真一郎
- at 16:03
- in コラム
2006年12月25日
小島伸幸氏とカズの関係
12月18日に行われたJリーグアウォーズで、相馬直樹氏、澤登正朗氏とともにJリーグ功労賞を受けた小島伸幸氏(元ザスパ草津)。その小島氏が、横浜FCのJ1昇格で「恩恵」を受けることになった。
昨シーズンでユニフォームを脱いだ小島氏は、現在のJ2最年長出場記録保持者。昨季の最終戦に出場したため、39歳10カ月16日が記録となっている。今季、その記録に迫っていたのがカズ(横浜FC)だった。
小島氏の生年月日1966年1月17日に対し、カズは1学年下の1967年2月26日。2人の年齢差は1だが、1月と2月という1カ月の差が記録に大きく影響をおよぼしていた。今季の最終戦に出場したカズだが、最終的な記録は39歳9カ月6日。J2最年長出場記録は、カズが来季、J2開幕戦に出場した時点で塗り替えられるはずだった。しかし、横浜FCの昇格により、カズは来季J1でプレーすることが確実。カズが再び、J2でプレーしない限り、小島氏の記録は安泰となった。
昨季、小島氏が「自分が最後まで出場したことで、カズが自分の記録を破るにはシーズンをまたぐことが必要になる」と話していたのを思い出す。小島氏が引退前に仕掛けたトラップ(罠)が功を奏す形となったのだ。30代で日本代表GKに選出された遅咲きGKの「読みの鋭さ」には、とことん頭が下がる。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 伊藤寿学
- at 16:26
- in コラム
2006年12月24日
コミュニティFMの挑戦(2) -なぜコミュニティFMなのか-
なぜ、コミュニティFMによるJリーグ中継にメリットがあるのか。それは、コミュニティFMの特性から知ることができる。
ラジオには、中波(AM)、FM、短波ラジオがあり、FMについては、NHK-FMを除くと、TOKYO FMのような県域FMと、今回取り上げる地域FM(コミュニティFM)がある。12月頭の時点ですでに200局を超えており、将来的には500局を超えることが見込まれている。コミュニティFMの特徴は、開局するためのコストが県域FMより少ない一方で、出力の問題により可聴範囲(受信できる地域)が狭いことである。例えばかわさきFMは、川崎市の中でも等々力競技場近辺では聴くことができるが、川崎市南部や北部では一部で聴くことが難しい。それでも、コミュニティFMが存在するのは、地域に根ざした情報流通と、災害時の貴重なメディアとなるからである。この地域性は、地域密着を目指すJリーグの中継にとっては大きなメリットになる。現在Jリーグを優先的に中継できるニッポン放送は、関東地方を対象として放送を行っている。ということは、ニッポン放送が浦和レッズの中継をすると、同じ時間に行われる川崎フロンターレの試合は中継されなくなる。県域FMであるヨコハマFMでも、県に4つのJリーグクラブを持つために、全てのクラブのニーズに応えることはできない。ただし、それぞれのクラブのホームタウンでの中継が実現できれば、これらのニーズの大部分は満たすことができる。コミュニティFMによって、ラジオの電波の帯域が限られている中で、地域割りの多チャンネル化が実現されていると言ってよく、多チャンネル化によって、中継のチャンスが増えることになる。
これまでは、ニッポン放送とその系列が独占放送権を持っており、さらにニッポン放送は、プロ野球シーズンの夜の時間帯は野球中継が優先されるため、放送されないゲームが少なからずあった。これまで、2000年から2005年シーズンまでの6年間で、コミュニティFMを含めてラジオ中継は30%程度。仙台、札幌はホームゲームをほぼ100%放送していて、ニッポン放送系列の静岡放送もコンスタントに放送している。一方、京都、大阪、神戸、広島では放送がないという状況だ。これには、時間的な枠がないだけでなく、週に1,2回しか行われないサッカーの試合は営業的に売りにくいという事情もある。
コミュニティFMによるJリーグ中継は、この空いている部分をきれいに埋めることができる。Jリーグファンにとっては、スタジアムに行けない試合でもラジオ中継で応援することができるようになる。コミュニティFMにとっては、コンテンツ不足という問題がありJリーグ中継はぜひやりたいという状況である。そして、Jリーグクラブは、中継による露出を増やしたいと、3者の利害が一致する状況である。また、「ラジオはテレビに比べ情報量が少なく、ラジオ中継を聴いた人は本物を見たくなる特性があり、長期的には集客にも良い影響がある」というラジオ関係者もおり、ちょっとした取り組みであるが、波及効果は大きい。
放送権というと、クラブやリーグの運営を支える貴重な収入源という考え方が一般的だが、Jリーグ、クラブともに、ラジオは儲けるためのメディアではないという認識になっている。これは、リーグの拡大への先行投資という意味では英断だと言ってよい。コミュニティFMによるJリーグ中継が軌道に乗れば、実質的にサッカーの露出が多くなり、マーケット拡大に大きく寄与するだろう。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 松尾真一郎
- at 19:12
- in コラム
2006年12月13日
コミュニティFMの挑戦(1) -コミュニティFMへの解放-
2007シーズンから、Jリーグ中継を取り巻く環境が変化する。大きな話としては、テレビ中継の変化で、スカパー!がJ1、J2の全試合を中継し、NHK、TBSに対して優先権を持つようになる。しかし、もう1点細かいが、地域密着を謳うJリーグの理念に大きく関わる変更がなされる。それが、ラジオにおける変更、特にコミュニティFMへの放送の解放だ。
ラジオ中継に関しては、ニッポン放送がラジオ放送契約を結んでいる。2006年シーズンまでは、独占放送権となっていて、好きなカードを優先的に放送することができた。ここで言う独占の意味合いは、ニッポン放送、およびその系列のラジオ局に対して優先的に中継の権利を与えるということで、他の放送局でもニッポン放送が許可すれば放送はできた。しかし、他の放送局が中継するケースはそれほど多くなかった。ニッポン放送は2007年シーズンから5年間のラジオ放送権契約を更新したが、この契約において、コミュニティFM(地域FM)については、独占ではなく重複放送を認めることとなった。まあ、県域FM(FM東京、FM横浜など)についても、ニッポン放送の中継と重複しない限り、自由に放送できるようになる。
コミュニティFMについては、2006年シーズンにもいくつかの地域(湘南、川崎、調布など)で試験的に放送を行っており、成果を挙げている。コミュニティFMでのJリーグ中継が軌道に乗れば、メディアを介したサッカーの普及という点で大きなメリットを享受することが期待できる。そこで、何回かに分けて、コミュニティFMがJリーグ中継をすることのメリット、具体的な取り組み、今後の課題を紹介したい。
※次回は「なぜコミュニティFMなのか?」について紹介します。
- Permalink
- Comments (1)
- Trackbacks (0)
- by 松尾真一郎
- at 23:16
- in コラム
2006年11月24日
人が人を裁くという傲慢さ
サッカーJ+Vol5でぼくが書きたかったのは、既存メディアの、おもしろさありきの行きすぎた報道にグロテスクさを感じたから。
エンターブレイン社に転載の確認を取っていないが、ここは独断でJ+に書いた、マスメディアが「報道の名のもとに行った」イエロージャーナリズムの仕組みについての部分を転載する。
事件が発覚した後の報道のからくりはこうだ。ベランダ側で採取された指紋を根拠にマスコミ対応した捜査員が「外壁をよじ登ったのかもね」などと軽口を叩く。もちろん室内からも指紋は採取されているはずだが、そんな事はお構いなし。「おもしろければいい」のである。4階のマンションの外壁をよじ登るという原稿はS選手が移籍加入直後だったことも手伝って、人間関係の希薄な番記者たちによって紙面に載ることになる。もし仮に読者からの抗議が来ても、捜査員の口から出た示唆をベースにしているからまるっきりの嘘ではない。そうやって曖昧な根拠をベースに報道は生まれた。
捜査員の軽口が、いつしか事実として報道される怖さにS選手はうちひしがれた。
「なんか全部わかる前に言われたのがイヤでした。そういう事が起きたときだけでかく書いて…。まあ、そういう仕事だから別にいいんですけど…」とS選手はうつむいた。
S選手がやってしまったと言われていることについては本人も認めており事実である。ただ、過失を認めた瞬間から、現在VFKでプレーヤーとして活躍するまでの間には、ものすごく長い贖罪の物語がある。その全ては書ききれないし、書くべきではない事もあるが、ただ一つだけ言えるのは、S選手がVKFで復帰するその過程の中で、人に批判されるべきものは一つもないということである。過失を認めた後の彼の全ての行動は、その全ての過程において謙虚だった。常に自らを裁かれる立場に置き、謙虚な姿勢で全ての問題をクリアしていった。
被害女性とも直接面談し謝罪。彼女が現役復帰のための嘆願書を出したのは事実だし、結果的にそれでもKF、KRの2チームから契約を解除されたのも事実である。マスコミ関係者による犯罪が、なぜだか優遇されて報道される中、微罪でありながら実名報道され、ついには生活の場であったJリーグという職場を追われるという重大な社会的制裁を受けたのである。
そうした中、S選手を揶揄?それとも問題提起?するためのダンマクを出したサポーターは、VFKが自由契約となったS選手と安易に契約したと考えてるのだろうが、VFKの社長はまずはJリーグに練習生として受け入れるための了解を取り付け、そしてボランティア活動に代表される福祉活動に従事させ、ある意味懲役に変わる活動を彼に課したのである。その活動の中で子供たちとふれあい、YKFの地域住民に受け入れられ、罪を許される下地をS選手自身が作っていったのである。
これ以上S選手に何が必要なのだというのか? 彼は法律論的にはすでに犯した過失を精算されながら、実名報道されたことにより一生犯罪者としての経歴を不特定多数の人たちによって認識され続けるのである。その弊害は、今回のダンマク騒動でも明らかである。彼の過失は曲解され、誇大化されて広まっているではないか。そもそも今一部の不勉強なサポーターが持っている彼の過失に対する認識は誇大であり、それだけでも継続的に彼に対してペナルティとなりうる。そうした状況にありながらも、それでもなおS選手にペナルティが必要だというのか?
ダンマクを出したサポーターはどうやら義侠心に燃えてやったらしいが、そもそもどこの誰に、法律論的に許された一個人に対してそこまでの個人的な制裁を加える権限があるというのか。そもそも、もしそうやって義侠心に燃えるのであれば、事実関係を調べてからやるべきである。それをやるのが面倒ならば、そもそもあんなバカげたダンマクを出すべきではない。人は全知全能の神などではないのである。時には過ちを犯す。だからこそ、法によって裁きを受けるのである。そうやって裁かれた人間をこれ以上むち打つ必要がどこにあるのか。そんな権限をだれが持ちうるのか。人が人を裁くんじゃない。人が法を根拠に人を裁く権限をかりそめに与えられているのだという事を理解すべきだ。
ちなみにぼく自身はS選手と面識を持っている。だから彼に対して同情心を持っているというわけではない。彼が犯してしまった過失に対し、あまりにもペナルティが大きすぎるし、それが今でも誤った形で流布しているのが残念なのである。そうした状況を少しでも多くの人に理解してもらいたいのである。
願わくば、S選手に対する誤解がこれ以上広まらないでほしい。そして彼を取り巻く当時の「報道」の状況が理解されんことを。そして彼はすでに贖罪を終えているという認識が正しく広まることを切に願っている。
追記
1言葉の間違いを訂正しました。
2ダンマクサポーターの所属がわからなくなるよう、言い回しを多少変えました。
- Permalink
- Comments (29)
- Trackbacks (3)
- by 江藤高志
- at 01:03
- in コラム
2006年10月19日
三ツ沢でいいじゃない?
一部新聞で、現在ホームスタジアムである三ツ沢球技場のスペックが、横浜FCがJ1に昇格した際に問題とされていることが報じられた。問題となっているポイントは、収容人員、個席となっていない椅子、照明の明るさ、メインスタンドの屋根の不在などとのこと。
Jリーグでは、ホームタウンのスタジアムの基準について、規約で定めているが、一番わかりやすい資料は、「競技場検査要項」だろう。
http://www.j-league.or.jp/document/jkiyaku/2006pdf/12.pdf
この検査要項を見ると、必ず具備しなければいけない条件である収容人員(15,000人)については確かに満たせない。また、必須とはなっていないが、原則具備することとなっている条件の屋根については、改修のための敷地の確保は難しそう。個席への転換も、資金的、スケジュール的にも困難だと考えられる。
しかし、三ツ沢球技場は、J開幕から数多くの試合をやってきており、今年もJ1クラスの試合ではリーグ戦で2試合、ナビスコカップで2試合使用されている。確かに最近スタジアムの基準が厳しくなったことはあるし、三ツ沢に屋根が欲しいというファンの声も聞く。しかし、臨場感あふれる専用スタジアムとしての魅力が詰まった三ツ沢球技場を愛しているファンは、横浜FCのファンだけでなく、横浜F・マリノスのファンにも多い。現状で三ツ沢での開催において、運営に支障が出ないのであれば、昇格の審査とリンクしそうな形で、この時期に問題視をする必要はないのではないだろうか。最終的に、より良いスタジアムでJリーグの試合が行われることには異論がないが、実現には時間がかかるわけで、5年から7年ぐらいのスパンで基準を満たせるようにできれば、それでいいのではないかと思う。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (0)
- by 松尾真一郎
- at 23:33
- in コラム
2006年07月22日
日本の冬を理解していないのでは?
オシム監督がJの日程について、秋開催の提言をしている。
秋開催についてはヨーロッパの日程と合わせる必要性と共に語られる事は多く、議論する事自体に反論はない。
もちろん、外国人であるオシム監督の発言だから
厳しい日本海側の冬の事情を知らないという背景も含めてあの発言は理解できる。
ただ、それと同じ事を責任ある立場の日本人が前向きに発言しちゃダメなんじゃないかと思う。
もちろん百歩譲ってスタジアムのピッチは人工芝にすればいいのだろうけど
(それにしても天然芝のスタジアムがいいに決まってる)
試合の開催ってスタジアムだけ環境が整っても仕方ないのはご存知の通り。
どこのオフィシャルサイトを見ても、必ずアクセスについて言及されるページが存在している。
Jリーグ公式ページには全てのスタジアムのアクセスガイドが用意されている。
そもそも試合を開催するためには、そのスタジアムに両チーム関係者、サポーターが集まらなければならない。
そうした背景を考えれば、豪雪地帯に本拠地を構えるクラブにとって
秋開催という形態が非現実的なものだという事は論を待たないだろう。
いや、もちろん潤沢な資金を持つJリーグ事務局が、スタジアム周辺道路の環境を整備し
豪雪時にも確実にサポーターとアウェイチームの選手をスタジアムに送り届けるという確約があるのなら
秋開催に反対する立場にはないのだけど。
まあ、観客は凍えちゃうだろうから、レバークーゼンみたいな屋根の上のヒーターとかの設備が必要になるのは間違いないけどね。
そういうのも想定した発言なのかなぁ。
それとも豪雪地帯のJクラブは排除するという思想なのかな?
いずれにしても社会的立場を持つ人なのだから発言には気をつけて
そしてもう少し想像力を働かせてもいいように思う。
「最初にやらなきゃいけないのは、Jリーグも欧州と時期をあわせること。日本協会もクラブ側も不満は解消できると思う」。犬飼専務理事が就任早々、日本サッカー界の最大懸案に着手することを明言した。
W杯などの国際大会は8-9月に開幕して翌年4-5月に終わる欧州リーグを基準に設定されている。だがJリーグは3月開幕のため、今年のW杯でも一時中断の措置を取るなど常に日程問題に苦慮。オシム氏も18日の日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンとの会談で「すぐに解決できないのは分かっているが、Jリーグのスケジュール問題も考えましょう」と訴えていた。
最大のネックは降雪地帯の雪だが、犬飼専務理事は「人工芝にすればいい」と具体的プランも明かした。Jリーグ規約では「天然芝」が原則だが、国際サッカー連盟(FIFA)の競技規則では人工芝の使用は認められており、日本協会とJリーグが改訂すれば問題はない。
- Permalink
- Comments (13)
- Trackbacks (3)
- by 江藤高志
- at 10:53
- in コラム
2006年04月03日
サッカー小僧にサッカーを
住居侵入の嫌疑で逮捕された茂原岳人が容疑を認め、横浜地検川崎支部は処分保留で茂原を釈放した。川崎支部によると起訴猶予ではなく、在宅での捜査に切り替えた形であり今後も起訴される可能性は残っているという。
茂原が所属していた川崎は、容疑を認めた茂原との契約を解除した。個人的にこの判断は厳しいようにも思うが、法令遵守が謳われる現代の会社組織にあって、法を犯してしまった選手との関係は、厳しくあるべきだという姿勢は一定の支持を得られるものだろう。
その川崎を率いる関塚監督は容疑を認めたことが伝えられたその日、茂原のことを「ボールが好きでサッカーが好きな青年なので、サッカーを真摯にやれる環境を与えてあげたいですね。サッカー小僧という表現がぴったりの選手なので、今後もサッカーに関わっていけるのか心配しています」と述べていた。
今回川崎が解除したのは、柏からの期限付き移籍契約であり、茂原との契約の主体は保有権を有する柏へと移行する。そうした背景もあって、4月1日に行われた6節の東京V戦後に石崎監督に質問が投げかけられた。石崎監督は「基本的に会社が決めることではあるが、彼の今後のことを考えても、更正させるという意味でも、プレーを続けられる方法があるといいと思う」と述べている。
日本が法治国家である以上、法を破ってしまったという事実は茂原に重くのしかかる。そう考えれば、柏が契約を解除してもなんら不思議ではない。ただ、今回の件に違う視点を与えるとすれば、茂原はすでに実名報道されており、さらには川崎での契約を解除されるという社会的制裁を受けている。そういう事実を考慮すれば、少なくとももう一度だけ更正の機会を与えるという判断があってもいいのではないかと思う。
4月1日の東京V戦後、足早にバスに乗り込もうとした山根に茂原のことを尋ねると、自らの足を止めて話はじめた。「さすがにまだ電話はできないけど、仲良かったし心配」などと今の心境を吐露した後「あいつ酒弱いのに飲むけーや」と怒りにも似た表情で吐き捨てた。言下に「酒さえ飲まなければ」という思いが込められているように感じられた。
酒が弱いという茂原は、本当に記憶がなくなるまで泥酔し、そして理性のたがを、外しているという自覚もないままたった一度だけ外してしまったのだろう。茂原が法を破ったとされているのは、川崎に居を移した2~3日後だった。茂原にとって川崎は、02年、03年の2年間で輝きを取り戻した思い出の地だった。
3月20日に事件が発覚する10日ほど前。4点をたたみかけて快勝した3月11日の2節の草津戦後、柏の快進撃を陰で支える山根について尋ねられた石崎監督は、その文脈の中で山根とともに茂原のことを高く評価する発言を残している。「そうやって振り返ると03年の川崎なんだよな」。茂原を再生させたのは石崎監督だった。
現時点で柏がどういう対応を取るのかはわからない。ただ、サッカー界のおこぼれで生きてきたサッカーファミリーの一員として、できることならば寛大な処置を望みたいしその思いは多くのサッカー関係者が共有するものでもある。関塚監督は彼の今後を心配していたし、東京V戦の試合後の石崎監督の話によると、川崎の選手とフロントとの間に、今回の処分についての意見の食い違いがあったという。そういわれてみると、茂原が釈放された夜。川崎が契約の解除を発表するまでの間にある選手が関塚監督と話し込み、そして選手会の発案で全選手がクラブハウスに集まって話し合いを持っていた。聞けば戦友たちはみんな、彼のこれからを心配していたという。
もちろん行った行為は恥ずべきもので、釈明の余地はない。今すぐに籍を戻した柏で選手登録し、プレーするわけにもいかないだろう。ただ、すでに茂原はペナルティを受けているし、実名報道されたことで多かれ少なかれ継続的にこれからも受け続けることになる。彼が行った罪に対するペナルティはもうこれで十分ではないかと思う。罪を憎んで人を憎まずという言葉に従うとすれば、その罪はすでに償われており、これ以上茂原のことを貶める必然性は皆無だ。
シーズン開幕後の麻生練習場で、関塚監督のやろうとするサッカーについて茂原に質問したとき、「難しいですね」と言いながら「俺バカだから」と付け加えていた。だけど彼にはサッカーがある。サッカーが大好きなバカ。サッカーバカ。サッカーバカからサッカーを取り上げたら何も残らない。それはかわいそうすぎる。
- Permalink
- Comments (0)
- Trackbacks (4)
- by 江藤高志
- at 11:50
- in コラム